吉沢亮・黒崎博インタビュー「『生きてるな』と感じた時間でした」『青天を衝け』

ドラマ
2021年12月19日

◆これまでの放送でも、印象的なシーンはございますか。

吉沢:僕が黒崎さんの演出で印象に残っているのは、パリから戻ってきた栄一が自分が日本にいない間に何があったのかを仲間に聞くシーンですね。その中で平九郎の死を聞くことになるんですけど「次回に感情を爆発させるシーンがあるからそれまでためておかなきゃ」と僕の中では計算をしていて、演じる時も真顔で聞いていたんですよ。でも、黒崎さんに「いっちゃってください」と言われてたんです。僕も「いいんですか? やっちゃいますよ」みたいな(笑)。

芝居をした時もモニターで確認した時も、本当にこれでいいのかなと思っていたんですけど、いざ出来上がったシーンを観たときに、演出も併せてすごく感動して。あの時はこれでいいのかなと思ったけど、むしろこれぐらいじゃないと対抗できないなと気づきました。正解の実感がないまま演じていたシーンではありましたが、結果的に栄一がその空間を体感しているような感じに見えたので、本当に素晴らしい演出で「黒崎さん、すごい」と思った瞬間でした。

黒崎:吉沢さんは瞬間的にパワーを燃焼させるエネルギーを持っている方なので、それをいつ点火させるかということを話し合ってきました。どう演じるかは吉沢さんが1番わかっていることなので、そのタイミングをいつも測っていましたね。僕の個人的なお気に入りは、第28回の大隈重信と栄一の掛け合いのシーン。2人はずっと座った状態でしたが熱量のぶつかり合いがすごかったので、引き込まれながら撮っていたの思い出します。

◆たくさんの別れを経験してきた栄一ですが、つらかったのは誰との別れでしょうか。

吉沢:やっぱり円四郎(堤真一)と千代(橋本愛)ですね。とっさまやかっさまももちろん悲しいことではあるんですけど、“やり遂げた”という感触があるというか、ポジティブな感情が流れている次に進める別れだったのかなと思うんです。でも、円四郎と千代はあまりにも突然すぎて。消化しきれないまま時間が進んでいってしまいますし…引きずりますよ。特に千代は撮影が始まった頃から一緒でしたからね。話が進んでいくにつれて最初のメンバーがどんどんいなくなっていって、最終的に僕しか残っていないので寂しかったです。現場でも「この人もいなくなっちゃうのか」「誰と話せばいいんだ」みたいな状態でした(笑)。

◆物語終盤の年老いた栄一は、どのようにつくられたのでしょうか。

黒崎:やはり、どうやって高齢の栄一を演じるかという点はかなり考えたところでした。栄一は本当に最後まで元気な人なので、エネルギーを持続させながら老いていくとはどういう感じなんだろうと試行錯誤していましたね。でも、撮影の終盤にはその答えも見つかってきたのかなと。肉体を封印している吉沢さんの感じも面白いんじゃないかなと思います。

吉沢:歳をとっていくお芝居は本当に難しかったです。栄一なのでエネルギーが失われることは絶対に避けなくてはならないですし、その上で歳を重ねるということがすごく難しいんですよね。ちなみに、撮影の終盤は役作りで8kg程度増やして、パンパンに太っていたのですごく体が重くて。年をとったなと思いました(笑)。

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