加藤シゲアキ「最後の大阪公演まで走り切りたい」舞台「粛々と運針」

エンタメ総合
2022年03月08日
加藤シゲアキ
加藤シゲアキ

加藤シゲアキが主演を務めるPARCO PRODUCE「粛々と運針」の公開ゲネプロが3月8日(火)に行われ、取材会に加藤、須賀健太と、演出のウォーリー木下が登壇した。

本作は、鋭い観察眼と綿密な取材を基に人間や題材を多面的にとらえ、緻密で丁寧、時にコミカルで小気味よいタッチの会話劇を得意とする劇作家・横山拓也による戯曲だ。“いつの間にか登場人物の葛藤に立ち入っているような感覚に陥る”横山作品を、素晴らしい成果を次々と生み出し国内外で高く評価される演出家・ウォーリー木下の演出で贈る。

主演の加藤シゲアキは、本作で描かれるふたつの家庭のいっぽう、築野家の長男・一(はじめ)を演じる。共演には、須賀健太、徳永えり、前野朋哉、河村花、多岐川裕美が集結した。

加藤シゲアキ
加藤シゲアキ

初日を迎えた気持ちについて、加藤は「本当にこのひと月、公演が無事にできるのかという緊張感を抱えながら稽古場もすごし、通し稽古までマスクしたまま、すごく気を遣ってやってきたので、今日を迎えられてほっとしています」と安堵の表情を浮かべた。

須賀は「シゲさん(加藤)も言ってくださったように、まず今日を迎えられたことが、すごく奇跡のようなことだなと。今日が初日なので、最後まで何事もなく走り抜けることが一番の目標です。頑張っていきたいと思います」と続けた。

この作品にかける思いについて、演出のウォーリー木下は「横山君の本自体がとても物語性が強いんだけど、とても詞的な部分がある。見る人がいろんな角度で見られる作品ですし、テーマもあるんですけど、テーマ自身をお客さんが考えられる余白がたくさんあるので、そこを楽しんでもらえたらいいなと思います」と明かした。

ウォーリー木下と初めて共演する加藤は、「すごく楽しかったです。台本を読んで、いろいろなト書きがある中で、静かな台本だなと感じたんです。せりふ的には大変なんですけど、動き的には楽かなと臨んだのですが、思っていたのとは違っていました。ウォーリーさんは動かす。“こんなことになるのか” “こういう解釈もあるんだ”って、ビックリしました(笑)」と明かすと、須賀も「静かなところももちろんありますけど、最初は驚きます(笑)」と相づち。

当初、ウォーリー木下から「動かない」と説明を受けていたというが、何度もウォーリー木下と共演している須賀は「ウォーリーさん、毎回そう言うんですよ。今回も何度動かないと聞いたことか(笑)。今回こそ、それを信じられると思っていたんですけど、まさか今回までも…」と語った。

須賀健太
須賀健太

どんな話かと問われた須賀は「兄弟や夫婦の会話をのぞき見をしている感覚なんですけど、聞いているうちに、見てくださっているお客様方それぞれが共感できる部分があって、見え方が1人ひとり変わってくる舞台なのかなと。これを観終わった後に持つ感想とか、その作品のイメージがそれぞれ違うと思うので、そこが魅力かなと思っています」と明かした。

今回、兄弟役を演じる加藤と須賀。加藤は「僕らの実年齢より上の役ですし、性格も違うので、どうやったら兄弟に見えるかっていうのは最初から話していたんですけど、方言指導の方が『すごく兄弟に見える』と言ってくださったので、少しほっとしています」と語ると、須賀も「それを聞いてうれしかったです。シゲさんと兄弟になれているんだっていうのが分かって」と同調した。

加藤シゲアキと須賀健太
加藤シゲアキと須賀健太

須賀は、加藤と、加藤が演じている兄・一とのギャップがすごいことを明かし、「役柄上、本当にどうしようもないお兄ちゃんなんですけど、稽古場では引っ張っていてくださって。基本僕との2人芝居なので、方向性だったり細かいニュアンスみたいなところを相談しながら作らせていただいて。そういった部分では頼れるんですけど、役ではすごく頼りないので、稽古場で脳みそがおかしなことになっていました(笑)」とそのギャップにパニックになったことを明かした。

そんな、どうしようもない役を演じた加藤は「こういう役は初めてなんですけど、すごく楽しくて。僕はずっと稽古場でふざけているだけだったので、すごくしっかりしている健太に甘えていたし、稽古ごとに違うことをしても受け止めてくれる包容力があるので、どっちがお兄ちゃんなのか、感覚的には分からないところがありました」と須賀を絶賛。

続けて加藤は、「最初、僕にこのお話が来た時に、(須賀を指し)こっちの役じゃなくていいんですか? と。いつもしっかりしている真面目な役ばかりだったので、こんなにふざけられるって楽しいなっていう。ただ、ふざけすぎて本番どうなるか自分でも分からないですけど(笑)」と、普段と違う役柄に楽しげな様子だった。

加藤と須賀の兄弟ぶりについてウォーリーは「シゲさんがすごくしっかりしているので、特に全体のチームのことや見え方とかも含めて、的確なことを言ってくれてすごく助かっていて。健太は今回、それをやらなくていいってことで伸び伸びと演技をしています(笑)。でも、舞台の幕が上がると逆のポジションになる。その二重構造がまさに兄弟で、お互い頼ってしまっているけど頼り切れないとか、いろんなジレンマを抱えながら、それが長年蓄積されていくと兄弟に見えるので、真逆の役だったかもしれないけど、それが関係性おいてはぴったりはまったのかなという気がします」と語った。

加藤シゲアキ
加藤シゲアキ

最後にメッセージを求められた加藤は「繰り返しにはなりますが、このチームで今日を迎えられたことにほっとしていますし、引き続き最後までいきたいなと。感染状況次第だとは思うんですが、昨年、PARCO PRODUCEさんでやらせていただいた時に大阪公演が中止になってできなかったので、今回またPARCOさんと一緒にする時に『今年は大阪公演までやり切りましょう』という熱い思いによって、この場に臨んだので、本当にどうなるか分かりませんけれど、最後の大阪公演まで走り切りたいという気持ちが強いです」と意気込んだ。

作品情報

PARCO PRODUCE「粛々と運針」

作:横山拓也
演出:ウォーリー木下

出演:加藤シゲアキ
/須賀健太 徳永えり 前野朋哉 河村花/多岐川裕美

企画制作:パルコ/ニベル
製作:パルコ

東京・PARCO劇場:2022年3月8日(火)~27日(日)
大阪・森ノ宮ピロティホール:2022年4月8日(金)~10日(日)

公式サイト:https://stage.parco.jp/program/syukusyuku/

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