「人数の町」大当たり祈願&完成記念会見!中村倫也「自由に受け取ってもらえたら本望」

映画
2020年08月25日

9月4日(金)より全国公開となる映画「人数の町」の大当たり祈願&完成記念会見が8月24日(月)に開催され、中村倫也、石橋静河、荒木伸二監督が登壇した。以下、オフィシャルレポートを掲載する。

河瀨直美監督を審査員長に迎え、2017年に発表された第1回木下グループ新人監督賞で、準グランプリを獲得した本作。主演には中村と石橋、そして本作が映画初出演となる立花恵理、「映像研には手を出すな!」に出演の山中聡など、フレッシュな面々が顔を揃える。監督・脚本は、松本人志出演の「バイトするならタウンワーク」のCMやMVなどを多数手がける荒木伸二が、初の長編映画に挑戦した。

この度、9月4日(金)に本作が全国公開となることを記念し、中村と石橋が日本橋福徳神社(宝くじご利益の神社)にて、「大ヒット」ならぬ「大当たり祈願」を実施。その後に開催した「完成記者会見」には2人に加えて荒木監督も登壇し、本作の見どころや撮影時の様子のほか、会見に集まった記者からの質問に答えた。

会見前に行われた「大当たり祈願」での祈祷の感想について、中村は「僕の邪念が全てふり払われましたので、今日はつるんとしたコメントしか出なそうです(笑)」とあいさつし、会見冒頭から会場を笑いで包む。これに対し、石橋も「楽しかったです」とニッコリ。

すると中村が「(神社は)どんな場所にありましたか?」と、石橋からたくさんのコメントを引き出そうと突然、質問を開始。石橋も「ビルに囲まれた神社だったけれど、昔ながらの雰囲気の良い場所でした」と付け加え、コンビネーションの良さを見せていた。

浴衣姿で登壇した中村と石橋だったが、シックなカラーの浴衣姿の中村は「数年ぶりの浴衣です。腹の座りがどこだかわからなくてちょっとそわそわしています」と明かす。爽やかな藤色にもみじをあしらった浴衣姿の石橋は、「昨年の撮影で着て以来です」と笑みを浮かべていた。

これに対し、荒木監督は「僕には浴衣が準備されてなかったです。着たかったです」としょんぼりする。すると中村がすかさず「新人(監督)さんにはないんですね(笑)」と、笑顔でツッコミを入れる場面も。

自身が演じる主人公・蒼山哲也役について、中村は「特徴もなく、流されるままに生きてきた男」と分析。「主義がない男だけど、石橋さん演じるヒロイン・木村紅子やさまざまな人と出会うことで変わってどうかわっていくのかが見どころです」と述べる。

対する紅子は、明確な意思を持っているキャラクター。石橋は「その頑固さで、町に馴染めずに、どこかおかしいよということを必死に訴えています。そのあとは…、ね(笑)」と、ネタバレにならないよう説明をしなければならない状況に複雑な表情を浮かべていた。

本作の完成にあたり、「たった一人で孤独に脚本を書き始めるところから始まりました。それが今、日本で最高レベルのお二方に演じてもらうことで立体化したことに感動しています。撮影中は、リハーサルの段階から、うれしくて涙が溢れそうになるのを必死に抑えて、ベテラン監督のように堂々と振る舞うように心がけていました」と荒木監督が当時を振り返る。だが、中村が「堂々とした印象はなかったです」と暴露し、会場の笑いを誘った。

映画の着想について、荒木監督は「子供の頃から、人間そのものというより、人間が塊になると怖いというイメージがありました。多数決とかって怖いなと感じていたんです。スピルバーグ監督が『怖いものがあれば映画になる』と言っていたのを聞いて、『これだ!』と思ったのがきっかけです」と明かす。

舞台となる町は、ちょっとした労働のようなことをやれば衣食住が保証されるという不思議な場所。そんな町の印象について、中村は「場所、空間、表情、言葉遣いなど、ひとつひとつがなんか異様でしたし、違和感はぬぐえませんでした。でも考え方を変えて、頭を切り替えれば居心地が良かったりするのかなという感覚でいました」と振り返る。石橋は「紅子は町に入って行く側の人。ひたすら怖いし、気持ち悪いし、不気味で嫌な場所だと思っていました」と吐露した。

注目してほしいポイントについて、中村は「石橋さんの…」としばらくためてから「瞳です」とアピール。その理由として「本当にキレイな瞳なんです。こんなに光が集まる眼球、僕持ってないですもん」と、独特の表現で石橋の瞳の美しさを解説する。加えて「紅子の登場で物語が動き、青山も揺さぶられていく。それが成長なのかどうかわからないけれど、変わるきっかけとなる紅子の登場は見どころですね」と強調した。

石橋は大きな意味があるシーンではないと前置きしながら、「逃避行して海辺でけだるそうに過ごす2人のシーンがすごく好きです」と告白。「2人が大変な生活をしている様子がよくわかるシーンです」と説明する。荒木監督は「僕の映画作りの狙いは、画面の中でいろんなものがいっぺんに動いていること。つまり、絶対ここを見て!という注目ポイントを作らないことを心がけました」と、映画作りのこだわりを明かした。

映画の楽しみ方について、中村は「映画や作品は、観る人のコンディションが影響するものだと思っています。自由に受け取ってもらえたら本望です」と語った。石橋も「私自身、1回目と2回目の感想は違いました。そういう効果のある作品だと思うので、自由に観ていただければうれしいです」と話す。

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