志田彩良、役作りで家事を特訓「家族全員分の炊事洗濯をしていました」「かそけきサンカヨウ」公開記念舞台あいさつ

映画
2021年10月18日
©2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会
©2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会

公開中の映画「かそけきサンカヨウ」の公開記念舞台あいさつが行われ、志田彩良、井浦新、鈴鹿央士、菊池亜希子が登壇した。

本作は、人気作家・窪美澄の同名短編小説を、今泉力哉監督が自ら希望し映画化。家庭環境のせいで早く大人にならざるを得なかった高校生の葛藤と成長を、同級生との“恋まではたどり着かないような淡い恋愛感情”を交えて描き出す。主人公・国木田陽は『ドラゴン桜』(TBS系)で話題となった志田。陽をやさしく見守る父親・直を井浦、陽の同級生・陸を『ドラゴン桜』でも志田と共演した鈴鹿が演じる。

主人公の陽を演じた志田は「陽は家事を日常的に行っている女の子なのですが、私自身は恥ずかしながら一回も洗濯機を自分で回したことがなくて。このままでは家事のできる子には見えないだろうなと思って、ちょうど撮影期間の前が自粛期間中だったので、今日から家族分の洗濯や食事の準備などをやりますと母に言って、母に一から洗濯の仕方などを教えてもらい、家族全員分の炊事洗濯をしていました」と、役作りの秘話を明かした。

さらに「映画の中で水餃子を作るシーンがあるんですが、撮影の前日に家で100個水餃子を作ったりしました。今でもたまに家事はしていて、なるべく自炊するようにしています」と語った。

陽の父親・直を演じた井浦は「映画音楽を作る仕事をしている父親役だったので、最初はどんな服を着て仕事しているんだろうというところを監督と話し合いました。眼鏡は掛けようかという話になって、私物の眼鏡も持っていったら『この眼鏡、監督の眼鏡に似てますね(笑)』なんて話しながら、外見の部分から役について話し合っていく上で陽との距離感とかも監督と話し合って決めました」と役作りのエピソードを披露した。

陽が淡い恋心を抱く同級生の陸を演じた鈴鹿は「陸が壁にぶつかった時に乗り越えようとする、一歩踏み出す強さや、人に対する優しさは僕にはないので…身に付けられるよう頑張ります!」と発言。すかさず志田が「十分、優しいと思いますよ」とフォローして場を和ませた。

陽の新しい母親・美子を演じる菊池は「この役を演じる直前に二人目の子供が生まれたタイミングだったので、ちょうど“母”ということを考えていました。物理的には母になっているけれど、中身は私自身のままで、“母と娘”について考えていた時期だったので、陽ちゃんの気持ちもよく分かって。新しいお母さんとか、言葉にしてしまうと平べったくなってしまうけれど、一人の女性として陽ちゃんとちゃんと向き合えたらいいなと思って演じました」と自身が演じた役について語った。

ここで登壇者にはサプライズで、原作者の窪美澄から手紙が到着。「『普通の家族』から、どんなに遠くても間違ってはいない、というメッセージを丁寧に、丁寧に、描いていただきました」とキャストへの感謝のメッセージが読まれると、志田は「うれしいです。グッときました」と笑顔を見せた。

鈴鹿も「映画を見てこう思ってくださって、ゼロからこの作品を書かれた原作者の方にそう言っていただけてうれしいです」、井浦も「原作者の窪さんがこの映画をどう感じてくださっているのか気になっていたので、それが知れてうれしいです」と答えた。菊池も「撮影を見に来てくださったことがあって、その時に『とても楽しみにしています。既に幸せです』と仰っていただいて、私も微力ながら原作をすてきな映画にするための力になることができていたらいいなと思いました」と続いた。

窪からの手紙に続き、会場に来られなかった今泉監督からの手紙を井浦が代読。今泉監督は手紙を通じて「観客の皆さまの顔を見たくて、正直、多少、無理をしてでも登壇しようと思ったのですが、映画『かそけきサンカヨウ』に出てくる大人たちはみんな正直で、強がらずに、生きています。ここで無理をすることこそ、この映画のメッセージに反しているのかな、なんて考え、きちんと休もう、みんなに甘えようと決めました。きっと映画の中の登場人物は『休むことが悪いことだなんて思わない』って言ってくれるだろうな、と、そう思いました。私が休んでいることも、今、一生懸命、生きている人たちへの何かしらのメッセージになれば幸いです。皆さんもつらくなったら、休むこと、忘れずにいてくださいね」とメッセージを送った。

井浦は本作について「今泉監督の真骨頂といえるような繊細な映画作りによって、この作品は瑞々しい作品に仕上がっていると思います。先程の監督の手紙でも、きついときはきついと当たり前のことを当たり前に言うっていう、そういう当たり前のことを当たり前にするというメッセージが作品にも込められていると思います。この作品が皆さまの心を潤して癒やす作品となっていたら幸せです。気に入って下さったらぜひ周りの人にも紹介してください」とアピール。

鈴鹿は「監督はとことん人に寄り添ってくれる優しい監督で、この作品も人に寄り添う優しい作品です。僕はこの作品は人生の中で大切にしたい部分を繊細に描いた作品だと思っています。この作品を見て、優しい気持ちになったり、友達や家族や好きな人に優しくしたいなとか、温かい気持ちになっていただけたらうれしいです」と作品に込めた想いを語った。

最後は志田が「今泉監督がいつも舞台あいさつなどで言っている言葉ですが、見てくれた方の感想とか直接的な言葉というのがとても大切なので、ぜひ、今日見ていただいた感想などを素直にSNSなどで広めていただけたらうれしいですし、身近な方には直接この作品のことを薦めていただけたらうれしいです」と観客に向けてメッセージを送った。

イベント情報

「かそけきサンカヨウ」公開記念舞台あいさつ
2021年10月16日(土)テアトル新宿
登壇者:志田彩良、井浦新、鈴鹿央士、菊池亜希子

作品情報

「かそけきサンカヨウ」
公開中

出演:志田彩良/井浦新
鈴鹿央士、中井友望、鎌田らい樹、遠藤雄斗
石川恋、鈴木咲、古屋隆太、芹澤興人
海沼未羽、鷺坂陽菜、和宥、辻凪子、佐藤凛月
菊池亜希子/梅沢昌代、西田尚美/石田ひかり

監督:今泉力哉
主題歌:崎山蒼志「幽けき」(Sony Music Labels)
原作:窪美澄「水やりはいつも深夜だけど」(角川文庫刊)所収「かそけきサンカヨウ」
脚本:澤井香織、今泉力哉
音楽:ゲイリー芦屋
配給:イオンエンターテイメント

©2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会