EMILY「監督に教えてもらって身についたことを生かせている」品川ヒロシ最新監督作「リスタート」

特集・インタビュー
2021年07月16日

◆未央の心情を事細かに監督が教えてくださったんですね。

しかも私は生意気にも脚本に対して文句を言ってしまったんです(笑)。最初の脚本には、転落するきっかけになった彼氏だと思っていた人に、未央がファンの悪口を言うシーンがあったんです。「キモイよね」って。私にはこんなこと言ったら、映画を見る人が最後まで未央を応援できなくなるんじゃないかって懸念がありました。だって未央はアーティストになる夢を果たせずに、ファンが応援してくれて地下アイドルをやらせてもらっている状態なんですよ。

◆確かにそのひと言があったら、未央に対する見方が変わるかもしれないです。

監督に「私は未央嫌いです。全然頑張ってないし、こいつダメじゃないですか」って言ったんですよね(笑)。そしたら監督は「こういう子もいる。一生懸命頑張っているけど報われない子もいるんだよ。だから未央を愛してあげて」とおっしゃいました。今思うと生意気だったなって(笑)。でも演技をするのは最初で最後だと思ったので、悔いのないようにしたいと思って感じたことははっきり言わせてもらいました。

◆最終的には未央を愛することはできましたか?

そうですね。憎めないやつというか(笑)。手のかかる子ほどかわいいんだなと思いました。

◆演じていて難しかったシーンはありましたか?

中野(英雄)さん演じる血のつながらないお父さんと初めて向き合うシーンです。私が素人すぎて、映画の撮り方を分かっていなかったんですね。私が気持ちの持っていき方の配分を間違えて、中野さんや他のキャストの方のアップを撮っている時に、いっぱい泣いて自分のアップを撮る時には気持ちも涙もかれてしまって。「じゃあEMILYのシーンで」となった時には泣けませんでした。何度撮っても泣けなくて、監督も仕方なく「次で最後にしよう」とおっしゃったんですね。そしたら中野さんが「EMILYはそれでいいの?」って聞いてくださって。それなのに私はちょっとやさぐれて返事をしてしまったんです。でも中野さんは私の気持ちを汲んで「もう1回やりたいって」と言ってくださって、そうしたら監督が私の横に来て、気持ちを作れるようなお話をしてくれました。そこでなんか…私のスイッチが入ったんですよね。今にも泣きそうってなった瞬間に監督が「(カメラ)回してー!」と言って、中野さんのほうを向いたら中野さんも泣きそうになっていて、最後に使われたシーンは号泣していました。そこは中野さんにおんぶに抱っこで用意してもらったシーンでしたね(笑)。

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