【#今旬コレクション】前田旺志郎「『キネマの神様』の撮影では四方八方全員に緊張しました」

特集・インタビュー
#今旬コレクション
2021年08月23日

テレビ情報誌「TV LIFE」で連載中の今後さらなる活躍が期待されるネクストブレーク俳優&女優の魅力を紹介する「#今旬コレクション」。WEB版では、本誌に収まりきらなかったエピソードをスペシャル動画も交えて紹介します。第12回は現在公開中の映画「キネマの神様」に出演中の前田旺志郎さんが登場です。

「#旬コレ 7seconds CHALLENGE」前田旺志郎

◆映画「キネマの神様」で演じられた勇太は前田さんとは正反対なキャラクターである印象を受けましたが、台本を読んだ時の印象はいかがでしたか?

最初に台本をいただいた時は、よくいる雰囲気の子だけど内に秘めた熱意がある青年だなという印象を受けました。でも、本読みの時に山田洋次監督から「そうじゃない」と、特にせりふの言い方をご指導いただいて。そこからキャラクターを再構築しました。勇太は引きこもりがちで人とのコミュニケーションが得意ではないんですが、その点は僕にはない部分だったので、演じるにあたってドキュメンタリー番組や映画を見たりして、自分なりに役作りをしていきました。演じ方に悩む部分もありましたが、そこから一気に僕の中での勇太のイメージが変わりましたし、脚本自体もどんどん変わっていったので、撮影を通して勇太というキャラクターを徐々に理解していったような気がします。

◆勇太を演じていて共感できたところはありましたか?

おじいちゃん子で、おじいちゃんが一番話しやすいという感覚です。僕も小さいころは、学校が終わってからそのままおじいちゃんの家に行って、金曜日は『金曜ロードショー』を一緒に見るというのが毎週の恒例行事だったので、勇太が映画を通じてゴウ(沢田研二)と仲を深めていったという点も共通するところがあったと思います。

◆ゴウと勇太の2人だけのシーンは、とてもほっこりした空気が流れていましたね。

はい。僕が一番いいなと思ったのは、勇太の話を聞いてくれている時のゴウの顔。本当に優しい表情をしているんです。勇太がゴウだけはまだ話しやすいと思っていて、苦手なはずのコミュニケーションでもちゃんと言葉が連なって出てくるのは、ゴウのこういった優しさがあるからなんだろうなと思いました。

◆そうそうたるキャストの方々が勢ぞろいしていますが、撮影中の裏話やエピソードを教えてください。

いつもだったら、一人ぐらいは同世代の共演者の方がいたり、制作部さんの中に年の近い方がいたりするんですが、今回はいなくて。僕は基本的にゴウの自宅でのシーンが多くて、現場にいらっしゃるのは大御所の方ばかりだったので、終始緊張しっぱなしでした(笑)。最後までなかなか自分から話しかけることはできなかったんですけど、おばあちゃん役の宮本信子さんやお母さん役の寺島しのぶさんが合間に話しかけてくださったおかげで、皆さんとコミュニケーションを取ることができました。今回のように四方八方全員に緊張しながらお芝居をする機会はなかなかないので、非常にいい経験をさせていただけたなと思っています。

◆ゴウは誰よりも映画を愛しながらも、不器用で一本気な性格がゆえに周りとぶつかり、自分の思いとは裏腹に映画界から離れてしまいますが、前田さん自身が好きな映画や影響を受けた映画はありますか?

見たタイミングにもよると思うんですけど、今、真っ先に思いついたのは朝井リョウさんの小説を映画化した「何者」です。ちょうど大学受験が終わってからすぐに見たんですが、お互いを応援しながらも、落ちる人もいれば受かる人もいるという人と人との温度差や、表に出ない嫉妬、気まずさみたいなものが役者さん一人一人から伝わってきて。どういう気持ちで、どれぐらいの居づらさでその場にいるのか、それぞれの役に合った表情をされていたんですが、ちょうど自分も同じ気持ちを経験していたので、すごく分かりましたし、心に喰らいましたね。あと、行定勲監督の「GO」は大学で多文化コミュニケーションを学んでいる時に久々に見たんですが、あらためて難しい問題だなと考えさせられる部分がありました。

◆ご自身の心境と近い作品に影響を受けやすいですか?

そうですね。最初はまっさらな、ピュアな気持ちで見始めるんですけど、気づいたら俳優さんたちの表情に注目して見てしまっている時があります(笑)。でも、基本的には僕個人として自分と重ね合わせながら感情移入して見ることのほうが多いですね。

◆前田さんが思う映画で役を演じることの面白さとは?

映画って約2時間の中でたくさんの登場人物の人生を客観的に見ることができると思うんです。一人一人の物語を一瞬一瞬の点じゃなく、脚本に書かれていない空白の部分まで自分で考えることで、ただの点で消化させずに線としてつなげていくことができる過程がすごい面白いなと思います。もちろん考えることも演じることも大変ではありますが、最近はそれが楽しいと思えるようになりました。

◆では最後に今後演じてみたい役柄を教えてください。

今後挑戦したいのは、刑事、弁護士、医者です。その職業ならではのせりふに憧れがあって、「何時何分現行犯逮捕」「メス」などお決まりのせりふを言ってみたいなと(笑)。自分の人生とは違う人生を歩めるところがお芝居の醍醐味でもあると思うんですが、今僕は現役大学生ということもあり、学生の役が多いので、今後は役を通していろんな仕事に就きたいです!

PROFILE

●まえだ・おうしろう…2000年12月7日生まれ。大阪府出身。O型。主な出演作は連続テレビ小説『おちょやん』『珈琲いかがでしょう』『DIVE!!』など。

作品情報

「キネマの神様」
現在公開中
監督:山田洋次
原作:原田マハ
脚本:山田洋次、朝原雄三
出演:沢田研二、菅田将暉、永野芽郁、野田洋次郎、リリー・フランキー、前田旺志郎、志尊淳、北川景子、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子

配給:松竹

©2021「キネマの神様」製作委員会

●photo/ota_sam text/星野彩乃

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