「“松村沙友理”が変わる瞬間を見た」ふくだももこ監督が語る、映画「ずっと独身でいるつもり?」撮影エピソード

特集・インタビュー
2021年11月19日

ふくだももこ「ずっと独身でいるつもり?」インタビュー

◆では、今後撮ってみたい作品はありますか?

先ほどの話に通じますが、今作はあまりにも登場人物の幅が狭かったと思っています。女性も一種のマイノリティーであるから、今回はそれに特化する気持ちでしたが、シスジェンダーのヘテロセクシャルの人しか登場しないので、“なんて狭いんだ”と。なので、これからはそうではない人たちも、当たり前に作品の中で生きてほしいです。心身の性が一致してない人、同性を好きな人、恋愛をしない人も、誰の周りにもいますから。あと、こういう結婚がテーマの映画だと「結局、1人で生きていくぜ」とまとまることが多いじゃないですか。「1人で生きていくと、今は決めます」みたいなことが、唯一ポジティブである終わり方みたいになっていますよね。だから新しい選択肢を考えたい。本当は終わり方がポジティブじゃなくてもいいはずなんですよね。

ふくだももこ「ずっと独身でいるつもり?」インタビュー

◆この作品は完成披露試写が有観客で行われました。お客様を目の前にした気持ちはいかがでしたか?

人が集まることが、こんなにもエネルギーをもらえることなんだなと思いました。このことに関しては、いまだに言語化できないんですが。コロナ禍になって、“リモートめっちゃ便利やん”と思っていましたけど、「やっぱり、全然違うぞ」と。今までいろんな映画人が舞台あいさつなどで感極まって涙を流したり、熱い思いを語ってらっしゃいましたが、正直実感がなかったんです。「今の感じでも悪くないやん」「一席空いてるの、変なおじさんとかに絡まれへんし、楽なあ」って。一観客としてはこの状況も快適でしたが、作り手としては、やっぱりこの数年はおかしな世界だったんだなと、今回初めて気づきました。だからみなさんにはどんな作品でも「観られる時は、映画館で観たほうが絶対にいい」と伝えたいです。

PROFILE

ふくだももこ「ずっと独身でいるつもり?」インタビュー

ふくだももこ
●1991年8月4日生まれ。大阪府出身。2016年、小説「えん」がすばる文学賞を受賞し、小説家デビュー。2019年に「おいしい家族」で長編監督デビューを飾る。監督作として映画「君が世界のはじまり」、ドラマ『深夜のダメ恋図鑑』『カカフカカ』などがある。

作品情報

ふくだももこ「ずっと独身でいるつもり?」インタビュー

「ずっと独身でいるつもり?」
2021年11月19日(金)全国公開

(STAFF&CAST)
原作:おかざき真里(原案:雨宮まみ)「ずっと独身でいるつもり?」(祥伝社フィールコミックス)
監督:ふくだももこ
脚本:坪田文
出演:田中みな実 市川実和子 松村沙友理 徳永えり 稲葉友 松澤匠/山口紗弥加/藤井隆 /橋爪淳/筒井真理子
主題歌:にしな「debbie」(WARNER MUSIC JAPAN)
企画・配給:日活

(STORY)
10年前に執筆したエッセイで一役有名ライターとなった本田まみ(田中みな実)。現在36歳で独身のまみは、仕事にやりがいを感じながらもヒット作を書けずに迷走中。周囲からは「ずっと独身でいるつもり?」と心配されている。一方、まみが出演する配信番組をきっかけに、まみのエッセイを支えに自立した生き方を貫く由紀乃(市川実和子)、夫への小さな不満を抱えながらインスタ主婦を続ける彩佳(徳永えり)、パパ活女性をしながら若さを失うことに怯える美穂(松村沙友理)の人生が交錯し始める。

 

公式HP:https://zuddoku-movie.com

公式Twitter:@zuddokumovie

公式Instagram:@zuddokumovie

© 2021日活

 

text/佐久間裕子

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