松下洸平インタビュー「大輝を本当にこの世界のどこかにいる人間として感じてほしかったんです」『最愛』

特集・インタビュー
2021年12月02日

◆この作品は松下さんにとって、どんな作品でしょうか?

僕は、一度『MIU404』ゲスト出演させていただいた時に、塚原さんと新井さんの組を経験させていただいて。この組の素晴らしさと過酷さを知りました。俳優にとってかけがえのない経験をさせてくれるということも感じていたので今回、連続ドラマで3か月間、この組と一緒にできるというのは、自分にとって確実に大きな一歩になると思いましたし、それと同時に “絶対に結果を出さなければいけない”という、これまでの役よりも自分にかけたプレッシャーは大きかったです。それぐらい覚悟して臨まないとできない現場だし、逆にその覚悟を持って芝居をすれば、視聴者の皆さんは必ず楽しんで見てくれるっていう確信もあったんです。なので、オファーを頂いた時はうれしかったのと同時に、その覚悟を持って自分にどこまでできるのか。見ている人に大輝を、本当にこの世界のどこかにいる人間として感じてほしかったんですよね。

『最愛』松下洸平インタビュー

◆大輝を、実在する人物として演じていたんですね。

ドラマの中の世界は、ドラマの中でしか生きていないけれど、どこかにいるような錯覚さえおぼえてしまうっていう、そのリアリティを持ってお届けすることがとても大事だし、それが毎週、「来週は大輝がどうなるんだろう」「あの2人はどうなるんだろう」って思わせる、ドラマを見る上で一番の楽しい部分だと思うんです。自分たちのことのようにドキドキしながら見たり、そのリアリティをどこまで出せるかのチャレンジでした。それこそ、においとかまで伝わったらいいなと。捜査一課の刑事だったので、走り回っていて思っている以上に大輝のいつも着ているコートやスーツは臭いと思うんですよ。その汗臭さまで見ている人に伝わったらいいなって(笑)。

◆ “大ちゃん沼”という言葉がネットで盛り上がりを見せていますが、どんな思いでいらっしゃいますか?

ありがたいですね(照)。どんなかたちであれ、視聴者の皆さんが役に没頭するというのは、俳優にとってうれしいことなので、そういった意味では熱中して見てもらえていることは、単純にうれしいです。

◆覚悟を持って臨まれた中での反響は、喜びもひとしおなのでは。

やらせていただいてうれしかったですし、本当に感謝しかないですね。ただ、すごく難しいのは、宮崎大輝っていう人間を愛してもらえたけれど、じゃあ自分はどうなんだっていうところも出てきて。大輝を演じた僕自身にも何か彼に負けない魅力がなければ、続かないし、だからこそ大輝から学ぶことは多かったと思います。それを僕自身が裏切らないように、でも時にはそのイメージをいい意味で裏切れるように、僕自身を面白がってもらえたらいいですね。

『最愛』松下洸平インタビュー

◆最後に、第8話に向けて見どころを教えてください。

劇中でも言っていますが、捜査一課から外されたことに対してのショックはもちろんありますが、自分でしたことですし、分かってやったことなので、自分で自分のケツを拭いたっていうことで言うと、大輝はそんなに後悔していないと思います。逆に第8話で大輝が第2の人生じゃないですけど、これから先、自分とどう向き合っていくのか、あと梨央とどう向き合っていくのか。生活安全課で働いていますが、それまでのものを捨てた代わりに得たものもあると思うんです。例えば、梨央との人生をゆっくりと考える時間とか。だから、1人の人間として、彼がしっかりと生きていけるか試されるのが、第8話かなと思います。

PROFILE

『最愛』松下洸平インタビュー

松下洸平
●まつした・こうへい…1987年3月6日生まれ。東京都出身。2008年に「洸平」名義でCDデビュー。翌年、ミュージカル『GLORY DAYS』で初舞台を踏み、俳優として活動の幅を広げる。2019年NHK連続テレビ小説『スカーレット』で人気を博し、話題作に多数出演。現在、バラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)にレギュラーで出演中。2021年8月25日には松下洸平としてメジャーデビューし、12月22日にはミニアルバム「あなた」を発売予定。現在、ドラマ『最愛』(TBS系)に出演中。

番組情報

金曜ドラマ『最愛』
TBS系
毎週金曜 後10・00~10・54

『最愛』松下洸平インタビュー

<第8話(12月3日放送)あらすじ>
しおり(田中みな実)の遺体が発見された――。現場の状況から雑居ビルからの転落と考えられたが、昭(酒向芳)殺害事件の参考人となっていたタイミングだったこともあり山尾(津田健次郎)は事件性を疑う。
出社した梨央(吉高由里子)は、秘書の児島(宮下かな子)からしおりと後藤(及川光博)が老人ホームの寄付金不正流用の疑いでもめていたようだと聞かされる。しかし、その後藤とは加瀬(井浦新)も前日から連絡が取れず、行方を掴めずにいた。
しおりが亡くなる前日、彼女と会っていたことで警察から事情聴取を受けることになった梨央。そんな彼女を、捜査本部を外されて所轄の生活安全課に異動になっていた大輝(松下洸平)が訪ねてきた。大輝の母が送ってくれたという故郷の酒を飲む2人の間には穏やかな時間が流れ、とある約束を交わす。
一方、しおりの周辺を捜査していた桑田(佐久間由衣)は、上司の山尾から、事件に関するネタを大輝からうまく聞き出すようはっぱをかけられてしまう。気が進まない中大輝のもとを訪ねる桑田は、かつての相棒に捜査の協力を懇願する。
そんな中、加瀬は梓(薬師丸ひろ子)と今後の策を練っていた。梓から後藤が向かうと思われる場所を聞いた加瀬は、早速梨央と向かうことに…。

©TBS

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