『マイファミリー』今夜最終回!飯田和孝Pインタビュー「考察は現場のモチベーションになった」

特集・インタビュー
2022年06月12日

『マイファミリー』

本日6月12日(日)についに最終回を迎える日曜劇場『マイファミリー』(TBS系 毎週日曜 午後9時~9時54分)。温人(二宮和也)は、連れ去られてしまった妻・未知留(多部未華子)を救えるのか。そして、一連の誘拐事件の真犯人の正体とは…。全てが明らかになる第10話の放送を前に、飯田和孝プロデューサーにインタビュー。毎週盛り上がりを見せた視聴者の考察に対する思いや、二宮和也さんをはじめとするキャストについて聞きました。飯田Pが選ぶ、MVPキャラクターとは…?

◆早速ですが、最終回の見どころを教えてください。

大きくは2つ。1つは“真犯人は誰だ”ということと、それに付随して“なぜそういうことになったのか”ということ。2つ目はそれぞれの家族の未来、登場人物たちの結末。この2つが最終回の柱だと思っています。初回が始まる前からずっと「このドラマはサスペンスではない」と言ってきましたが、誘拐事件が起きた理由とそれに対する納得感というか。そのあたりが“人間だね”“家族なんだね”というふうに、見た方の腑に落ちるといいなと思っています。このドラマはスケールの大きい話ではなくて。誘拐事件が起こってはいますけど、人間同士のもつれとか、Uruさんの主題歌にもあるようにボタンの掛け違いだったりとか。そういったことが全て込められた最終回になっているのではないでしょうか。

◆視聴者の考察が毎週盛り上がっていましたが、製作サイドや出演者の方はどのように受け止めていましたか?

僕らプロデューサーは冷静に分析する立場ではありますが、キャストや現場のスタッフたちにとってはモチベーションにつながっていたでしょうし、僕としてもそれはすごくうれしいことですね。それこそ「誰々が犯人じゃないか」みたいな考察が何通りもあって、それを目にすると「なるほどな~」「あの時のカットがそう思われてるのかな~」と思いながら(笑)。「この人が疑われてます!」みたいに言ってるスタッフもいましたね(笑)。それによって作り方が変わるということはないですが、キャストはもちろん、何より現場のスタッフのモチベーションになったと思います。1つのカットだったり、自分が用意した小道具…例えばタブレットのクローバー1つ1つをADさんと美術さんが選んでたりするんですけど。あとはカエルのキャラクターとか。そういったことに視聴者がちゃんと興味を持って見てくれてるのをスタッフが感じられてるっていうことがすごくありがたいですね。

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◆先週第9話の放送が終わって、「終わってほしくない」という声もたくさんありました。

テレビ番組を作っていて、それはもう単純にうれしいですよね。それだけの方が見てくださっていて、キャラクターを好きになってくれたり、そういったことの表れだと思うので素直にうれしいです。スタッフ、キャストも皆さん同じ意見だと思います。そういった方々にちゃんと応えられるようにしっかりと最終回を締めくくらないと、と思ってます。

◆今1話を振り返ると、二宮さん演じる温人の雰囲気や印象が全然違うなと感じました。

それは温人がだんだん父親になってきているからだと思います。最初に衣装合わせをしたときから、二宮さんが「1人の男が、だんだん父に戻るところに向かってやっていきたいですよね」っていう話をされていて。徐々に“温人からトゲを抜いていった”というのが合っているかは分からないですけど。3話で娘が助かって、“絶対この子を守らなきゃいけない”ってところから1年たって。他の人の子供の誘拐に対しても自ら率先して動いて、やっぱり家族は尊いものだなと感じるようになって。最終的に“父親にもう1回戻れた温人”を表現するための逆算を二宮さんが最初から最後までされていたっていうことが、“温人の印象が変わった”ということにつながるんだと思います。

◆あらためて二宮さんをはじめ、出演者のすごさを感じた出来事は?

今回のメインキャストは、若手の中で超一流の人たちが集まったのではないかなと思っていて。言い方に語弊があったら申し訳ないんですけど、“いかに自分を殺すか”を考えてるというか。彼らがしてる議論って、“自分をどう見せるか”という議論ではないんですよね。この作品のこのシーンで何を表現したいかっていう演出の意図をしっかりと聞き取って、そうするためには「このせりふは言わない方がいいかな」ということまで提案しているんです。現場でリハーサルをやってみて、「それだとこう伝わっちゃうんじゃないかな」みたいな気配りを皆さんしていました。

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◆特にすごさを感じたシーンはありますか?

8話の東堂(濱田岳)が語るところですかね。あそこの空気感って、怒りや「何でおまえが」っていう思いもあるし、東堂の言ってることに同情まではできないけど…っていう複雑な状況ですよね。あの状況になった人って、多分世の中に誰もいないんじゃないかなと思うんです。目の前の大親友の子供が誘拐されていて、その人が実は自分の子供を誘拐してたやつで。「許せねぇな」っていう感情が先に来るけど、でも「この人の子供っていまだに見つかってないしな」っていう…。簡単な言葉で言うと“しっくりきた”っていうのが正直なところで、そういう空気感に持っていった彼らがすごいなと。さらにそこから東堂の事務所に行って、東堂が「美咲ちゃんを助ける」って言った後の二宮さんの表情が僕はすごく好きです。東堂が「今は生きている子供を助ける」って言った後に、温人が「東堂、周り頼むぞ」って言ったあの表情が“許したのかな”“何かな”っていう…東堂に寄り添ってるようにも見えるし、なんかすごく絶妙な感じ。友達だからこそ出てきた表情で、すごく自然だったなと思いました。

◆未知留役の多部さんについてはいかがでしょうか?

未知留は4話からずっと妊娠している状態で。その中でも「妊婦がそんなに動いていいの?」みたいな意見があまり出なかったように思うんです。それは多部さんがすごく繊細に演じてくださったからだと思います。妊娠しているけれども、それを押してまで動く理由というか。娘にこれ以上怖い思いをさせたくないからここで食い止めるんだとか、親友のためだったりとか、そういう表現につなげてくれていましたし。動き1つ1つを丁寧に演じていて、やはりプロフェッショナルだなと感じましたね。

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◆賀来さんについてもお聞かせください。

このドラマの中で、賀来さん演じる三輪が一番二面性のあるキャラクターなんです。そのキャラクターを1話から徐々に変化させていく、その作業がすごく上手だなと思いましたね。別れた妻と娘がいるという彼に与えられた設定を、父でもあるんだけど“父になりたい男”として演じてくれました。“戻りたいけどそれは自分では決められない”という思いがあって、もう1回(元妻の)沙月さん(蓮佛美沙子)に認められたい、娘の優月(山崎莉里那)の元に帰りたいっていう感情の押し殺し方が、すごく誠実な男に見えて。“愛せる男”になっていましたし。それも逆算なんでしょうね、最初のチャラチャラした感じに見えるところからの変化なので。温人に「沙月さんと優月ちゃんの所に帰ってやれよ」って言われたときの表情もそうですが、本当に優しい男だと思うんです。三輪碧にとって、家族に戻れるか戻れないかの瀬戸際じゃないですか。でも親友をほっておけないっていう彼の気持ちも感じられるし。違和感なく三輪という人物として見られるし、うまいけど小手先の芝居じゃないっていうのはなかなか難しいんだと思うんですけど。

◆ありきたりな表現かもしれませんが、個々のキャラクターが説得力を持って存在していますよね。

そうですね、“いる”んですよ。よく「想像を超えましたか?」とか聞かれるんですけど、想像を超えたとかじゃなくて“温人だった”ってことなんですよね。未知留であり、東堂であり、三輪であり、葛城(玉木宏)である…っていう。多分想像を超えていることを皆さんやられてるんですけど、それがもうその人物にしか見えなくなっているんです。この前、二宮さんが「コンビニの店員さんの“いらっしゃいませ”に勝てるものはない」「自分も俳優としてそこの領域に達したい」って言ってましたけど、そうなってるんですよね。

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◆若手刑事・梅木役の那須雄登さんの成長ぶりはいかがでしょうか?

那須君は本当に成長したと思います。先日クランクアップしたときに「1話と比べて別人になったね」って話したんですけど、本人も「はい、1話見て恥ずかしくなりました…!」って言っていました(笑)。今回お芝居が上手な方々がたくさんいたので、1話の時に「とにかく吸収して」と伝えたんです。那須君も頭がいいので、自分を客観的に見られるんですよね。“こうなってるからこう直そう”“こういうふうなやり方でやろう”ってイメージがあっても、最初の方はうまく表現と結び付けられなかったと思うんです。それがだんだん、自分が思ったものと実際の表現のズレがなくなっていったというか。回を追うごとに梅木の芝居がすごくよくなって、ちゃんとフィットしてる感じになってきたなと思いました。

◆撮影を重ねていく中で、“鳴沢家”の現場の雰囲気に変化はありましたか?

最初はいなかった友果ちゃん(大島美優)が入ることで、変化はあったと思います。二宮さんと多部さんの関係性が出来ていたこともあって、最初から合間は皆さん和気あいあいとされてましたけど、家族って子供を介して親がつながるみたいな感じもあるじゃないですか。友果ちゃんも割とそこに入っていく子なので、そういった意味でも雰囲気が作りやすいのかなと思います。皆さん仲良さそうでしたし、楽しそうに話していましたね。

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◆他のキャスト、キャラクターの中で、飯田さんが思う“MVP”を挙げるとしたらどなたを選びますか?

難しいですね~!(苦笑)…でも、玉木さん演じる葛城はめげないですよね。そういう意味ではMVPかもしれないです。葛城がなぜそんなに執念を持っているのかっていうのが分かるのが、9話の「救えなかったのは自分の責任です」「東堂がそんなことをしてしまった原因は俺にもある」っていうせりふで。その思いを持ち続けて生きてきた5年間って想像し得ないですよね。鳴沢家から排除され、情報提供を求めるビラを配ってたら邪険にされたり、そんな中でもブレない彼の誠実さというのは表彰ものなのかなと思います。

番組情報

『マイファミリー』

日曜劇場『マイファミリー』
TBS系
毎週日曜 午後9時~9時54分

<第10話あらすじ>
未知留(多部未華子)が誘拐された。
犯人は温人(二宮和也)に、逃走中の東堂(濱田岳)と未知留の交換を要求。温人は犯人を暴いてほしいと葛城(玉木宏)に頼み、自身は未知留を救うため、三輪(賀来賢人)と共に東堂への連絡を試みる。
ついに連続誘拐事件が完結する。犯人は誰なのか? 一体なぜ誘拐をしたのか?
家族が迎える未来は果たして…。

<STAFF&CAST>
脚本:黒岩勉
演出:平野俊一
プロデューサー:飯田和孝、渡辺良介
出演:二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、那須雄登(美 少年/ジャニーズJr.)、松本幸四郎、富澤たけし(サンドウィッチマン)、濱田岳、玉木宏 ほか

番組公式HP:https://www.tbs.co.jp/myfamily/

©TBS

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