『ユニコーンに乗って』松本友香P&岩崎愛奈Pが語る“大人の青春物語”に込めた思い

特集・インタビュー
2022年09月05日
『ユニコーンに乗って』©TBS

◆小鳥さんの反響は狙い通りでしたか? 

松本:こんな人がいたらいいなと思いながら、夢を託して作ったキャラクターだったので、視聴者の皆さんにもちゃんと「分かる、こんな人いてほしい」って思ってもらえる存在となって、すごくよかったなって思います。西島さんからも、こんなことをしたらどうだろう、あんなことをしたらどうだろうって、台本以上のアイデアをくださったり、足し算引き算しながらドリームすぎず、でもこんな人がいたらすごく救われるよねっていう部分を一緒に作っています。

◆西島さんを起用した理由を教えてください。

松本:強面なイメージがあった中で、ここ数年すごく柔らかい役だったり、エプロンを着けている役をやられていて。西島さんのにじみ出る優しさが、絶対すてきな小鳥さんになるなと思ったんです。そして、TBSの日曜劇場ではなく、火曜ドラマに出ている姿をちょっと見てみたいなというチャレンジもあって、オファーしました。

岩崎:西島さんは世代を越えて愛されている俳優さん。老若男女問わず、西島さんをすてきだなと憧れている人が多いと感じています。本作がそういう世代間の考え方やギャップの違いを軽く超えていけるような作品にしたいということもあったので、小鳥さんがそういう象徴の人ですし、西島さんにその役を担っていただけたら、最高な小鳥さんになるのではないかなという思いがありました。実際、本当にとてもすてきな方で、松本も言っていたようにアイデアをたくさん出してくださいますし、常に現場の空気を穏やかにしてくださって一緒に作品を作ることを楽しんでくださっていることが私たちも分かるし、周りもそれに感化されて、もっとこうしてみたいなっていうアイデアが日々生まれてきます。

◆具体的に採用された西島さんのアイデアはありますか?

松本:2話で、杉野さんと前原さんがLUUPっていう電動キックボードに乗って出勤してくるシーンがあったんです。そのとき、西島さんがその2人の姿を見ていて、自分も乗りたいと言われていたんです。若い人たちの会社で小鳥さんも成長していく中で、新しいものを取り入れていければいいよねと。その結果、9話で西島さんがLUUPに乗るシーンが出来ました。

◆作品中には図書館も出てきましたが、それはデジタルとの対比を意識されたのでしょうか?

松本:デジタルが進む一方で、アナログな部分も大切なところがあるなと思います。対比を意識しているわけではなかったですが、実は図書館ってすごく建築にこだわってきれいなところが多いんです。シチュエーションや設定も含め、監督と美しい建築の図書館で撮影をしてみたいねと、ビジュアルイメージから入った部分もありました。

『ユニコーンに乗って』©TBS

◆前原さんがインタビューで“劇団ドリポニ”と言われていましたが、ドリポニメンバーの撮影エピソードで印象に残っていることがあれば教えてください。

松本:“劇団ドリポニ”は、ドリポニがワンルームみたいな作りなので、永野さん、杉野さんだけがせりふのあるシーンでも、西島さん、前原さん、(青山)テルマさん、坂東(龍汰)さんが後ろにいることが結構あるんです。西島さん、前原さん、テルマさん、坂東さんの4人はせりふのない中で、永野さんたちの後ろで何をやるかに命を懸けていて(笑)。 “劇団ドリポニ”ができたことをきっかけに、いろんなアイデアを日々現場で出してくださって。4話で投資家の人にもらったクッキーを食べているシーンがあったんですが、台本では海斗(坂東)だけがむしゃむしゃ食べるという設定だったのが、みんなでクッキーを取りあって食べていたり。yogiboがある休憩室のシーンでは、どんな体勢にしよう、どのくらいの距離感にしようと、いつも盛り上がっていました。ですが、私たちも足し算引き算が必要なので、バランスでカットしてしまう部分もあるんですが…(苦笑)。カットされるかもしれないところも含めて、何をギリギリまでやるかみたいなところを楽しんでやっていただけています。

◆『私の家政夫ナギサさん』も手掛けたお二人。そこで得たことを生かした部分もありますか?

松本:火ドラ=キュンキュン=直接的なラブだけじゃないなっていうのは『ナギサさん』を作ってみて感じました。心の癒やしというか、心のつながりのキュンみたいなものも求められているのかなと。いろいろなバランスの作品が編成される中で、自分より人生経験豊富な人からもらえる言葉だったり、安心感だったり、そういう関係性から得られるもの、癒やしや力になることってあるなと、そこは意識しています。

岩崎:『ナギサさん』をやっていた時に、現場でよく話していたこととして、世代間のギャップや遮断というか、「あの世代はこうだから」とか、「若い子たちはこうだから」みたいなバイアスのかかった見方が自分たちを窮屈にしているなと思うところがあったんです。それを『ナギサさん』ではナギサさんみたいなおじさんの家政夫さんと家事の苦手な女性とで描きましたし、今回は大人のおじさん部下と、女性CEOという、立場も今まで考えてきたこと、生き方も違う2人が出会うことで、世代間の遮断をしたり、バイアスをかけて人を見るのではなくて、お互いに心を開いてみると、古きを知って新しきを知る、新しきを知って古きを知ることもあるだろうし、相互理解につながったりとか、お互いを尊重する動きの一歩になったらすてきだなというのは考えました。

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