松本若菜インタビュー「女優として、とても実りのある撮影になりました」『ミヤコが京都にやって来た!~ふたりの夏~』

特集・インタビュー
2022年09月30日
松本若菜

ABCテレビで昨年1月期に放送された同名ドラマの続編となる本作『ミヤコが京都にやって来た!〜ふたりの夏〜』(ABCテレビ ※関西ローカル・配信あり)。風光明媚な夏の京都を舞台に、12年ぶりに再会した父・空吉(佐々木蔵之介)と娘・ミヤコ(藤野涼子)のぎこちなくもいとおしい共同生活を丹念に描く人情ドラマを送る。

個性あふれるキャラクターたちが登場する中で、前シリーズの終盤に登場し話題を呼んだのが、空吉とのただならぬ過去を匂わせる女性・佐知子。今回の続編では2人のその後が描かれるのも見どころの1つだが、そんな佐知子役を演じる松本若菜さんに、本作に感じる魅力や撮影を終えて感じたこと、本作の見どころなどをお聞きしました。


◆まず、続編が決まったと知った時の気持ちを教えて下さい。

前シリーズでは私自身も今後があればいいなという登場の仕方をさせていただいたので、続編が決まり、さらに「ふたりの夏」というタイトルで、空吉さんと佐知子のその後が描かれるとお聞きした時は素直にうれしかったです。前シリーズは少しだけの出演でしたので、蔵之介さんとしっかり共演をさせていただけることもとても楽しみでした。

◆前シリーズの撮影を振り返っていかがでしたか? また、作品に感じた印象は?

京都に伺った際、その風情はもちろん、実際に住まわれている方々の生活感を目の当たりにして、「一見さんお断り」のような格式の高いイメージを持っていた京都を身近に感じられるようになりました。そして、町医者として近所の方々と穏やかに暮らしていた先生の元に、突然12年間会っていなかった娘がやってくるという、現実的なことと非現実的なことが融合しているのもこの作品の魅力だなと。見ていて「次はどうなるの?」とドキドキしてしまう、とても面白い作品だなと思いました。

◆そこから待望の続編の撮影を終えられ、ついに放送を迎えます。

続編は佐知子と空吉さんの過去と現在、さらには未来も感じられるような物語がとても丁寧に描かれていて、全3話ではありますが、見ごたえたっぷりだと思います。また、蔵之介さんと2人のシーンも多く、座長としての居方を間近で見ることができたのですが、今後もし私が座長という立場に立つ日が来た際には真似したいと思うような背中を見せていただき、女優としてとても実りのある撮影になりました。

左から)佐々木蔵之介、松本若菜

◆カメラが回ってない時の蔵之介さんと藤野さんはどのような雰囲気なのでしょうか。

もう“無”です(笑)。いい意味でお互いに気を遣っていない、それこそ父と娘の感じといいますか。「はぁ、お腹空いたなぁ」「な、お腹空いたわ」というように、ポロッと出る会話が親子なんですよね。そういったお2人の空気感というのは前作で作り上げられたものだと思うのですが、そこでシャッターを下ろすわけではなく、とてもウエルカム。今回現場でナチュラルに過ごすことができたのも、お2人のおかげだと思っています。

◆今回、佐知子を演じるに当たって意識した部分は?

最初に今回の台本を読んだ時は、佐知子は仕事にも子育てにも精一杯で、自分の気持ちを押し殺して生きているような女性だと思っていたんです。でも、衣装合わせの時に監督から「佐知子は“かまってちゃん”なんだよね」と言われ、「えっ」と驚いたのですが、よく考えたら「確かに…」と思う部分が多くて(笑)。でも、佐知子自身はそれを分かっていなくて、素直な気持ちで行動したことが、他人からすると“かまってちゃん”に見えるちょっと損なタイプなんですよね。私はそんな彼女がいとおしいなと思いましたし、見ている方々に「何、この女」と、嫌われてしまうくらいでもいいのかなと思いながら演じていました。

◆松本さんから見た空吉はどのような男性だと思いますか?

ちょっと気が早いなと思ったりもするのですが、佐知子も悪いですよね!(笑)。天然なのか、気を持たせるようなことをふと言ってしまって、素直な空吉先生はそりゃあ信じてしまうよね、と。でも、そんな2人のすれ違いがまたいとおしいなと思います。そして、蔵之介さんのほうが何億倍もカッコいいですが、うちの父も空吉先生のようなタイプなので、ちょっと似てるな、なんて(笑)。そういう面でも、こういう人って憎めないよなぁと思いながら見ていました。

◆今回、劇中で佐知子が「蒔絵」に挑む描写がありますが、実際に松本さんもレクチャーなどを受けられたのでしょうか。

はい。私自身、細かい作業や絵を描くことが好きなので、すごく楽しみにワクワクしていたのですが、やはり難しかったです…。ただ、工房で実際に職人さん方が作業されている姿を間近で見させていただいて、そこにお弟子さんが何人もいらっしゃって、伝統はこうやって受け継がれていくのだなと。佐知子のせりふに「人がおらんようになっても、ものは受け継ぐことができる」という言葉があるのですが、本当にその通りだなと、蒔絵に憧れる佐知子の気持ちにとても共感することができました。

左から)藤野涼子、松本若菜

◆佐知子のように、松本さんが今後挑戦してみたいことはありますか?

私、本当に出不精で家が好きなので(笑)、アウトドアなことよりも家でできるDIYとかが好きなんです。なので、今まで目隠し用の棚くらいしか作ったことがないのですが、いすやテーブルなんかも作れたら楽しいだろうなと。うちは父が大工で、小さいころからその姿を間近で見てきたのである程度はできるのかなと思っているのですが、簡単にできるものではないですよね…。でも、時間がかかっても長く愛用できるものを作れたら、さらに家で過ごす時間が充実するんじゃないかなと思っています。

◆最後に、本作の見どころや注目してほしいポイントをお願いします。

今回は全3話ですが、決して駆け足では進まず、見ていてしっかりと心に入ってくるような物語が散りばめられています。タイトルが「ふたりの夏」ということで、佐知子と空吉さんをはじめ、空吉さんとミヤコちゃんにとっても初めての夏だったり、いろんな人の「ふたりの夏」が描かれているので、そういう目線で見ていただくとまた面白い見方ができるんじゃないかなと思います。そして、蔵之介さんが愛してやまない夏の京都の風情がとてもきれいに描かれているので、そこにもぜひ注目していただけたらうれしいです。

SPECIAL TOPIC

◆京都のお気に入りスポットは?

鴨川です。前シリーズでも、今回も鴨川に行かせていただいたのですが、釣りのためなのか親子が網を持って走り回っていたり、高校生の子たちが足を川につけてパシャパシャしていたりと、ここは地域に根付いている場所なのだなと感じて。私が今までテレビなどで見ていた観光地としての鴨川とはまた違う印象を受け、あらためて好きになりました。

番組情報

『ミヤコが京都にやって来た!~ふたりの夏~』
ABCテレビ ※関西ローカル・見逃し配信あり
第1夜:2022年9月30日(金)深夜0時24分~
第2夜:2022年10月1日(土)深夜0時05分~
第3夜:2022年10月2日(日)深夜0時25分~

出演:佐々木蔵之介、藤野涼子、結木滉星、松本若菜
柳沢慎吾、ますだおかだ増田、川畑泰史、おいでやす小田
芦屋小雁、三林京子、市川猿之助

番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/miyakyo

PROFILE

左から)松本若菜、藤野涼子

松本若菜
●まつもと・わかな…1984年2月25日生まれ。鳥取県出身。A型。ドラマ『復讐の未亡人』(Paravi)、『死神さん2』(Hulu)が配信中。映画「マリッジカウンセラー」が公開中。ドラマ『ファーストペンギン!』(日本テレビ系・10/5放送スタート)、映画「みんな生きている~二つ目の記念日~」(2023年初頭より順次公開予定)に出演。

●text/片岡聡恵

この記事の写真

©ABCテレビ/ケイファクトリー