鈴鹿央士「心君って難しいなと思いながらずっと演じていました」『スイートモラトリアム』インタビュー

特集・インタビュー
2023年05月22日
『スイートモラトリアム』第1話©『スイートモラトリアム』製作委員会

◆「『あぁ、こういう瞬間ってあるよなぁ』と共感する部分がありました」とコメントされていましたが、どんなところに共感されたんでしょうか?

心の物事を決められないところ。僕も学生のころ、将来の夢を書かなければいけないときに、特になりたいものがなかったんです。周りの人がサッカー選手と書いているから、自分もサッカー選手と書こうとか、パン屋さんと書いているから自分もパン屋さんと書いておこうみたいな感じで。高校生のときは、強いて言うなら英語が好きだったくらいだったので、英語の先生に「英語は何に使えますか?」と聞いて「通訳さんとかじゃない?」と言われて、通訳と書いておこうみたいな。ずっとそうだったので、何か決めなくてはいけないとき、結構難しいし、「選択に迫られてもな…」と思う自分が今でもいます。なので、心君がどうしたいか決めなきゃいけないシーンがたくさんあるのですが、そのシーンごとに「自分、決めていなかったな」と思ったりします。

◆他にも自分とこういうところが似てるかなと感じたところはありますか?

若林時英君が演じた田中とのシーンで、2人だけのノリみたいなものが生まれたのですが、それは岡山にいる小中高とずっと一緒だった友達とのノリに似ているかなと思います。原作でも田中と心君は打ち解けた仲だったのですが、現場でお芝居して2人で2人のノリが生まれて。毎回役を演じていて思うことなのですが、心君もりんごちゃんといるときと、小夜ちゃんといるときとで、打ち解け度合いが違うし、関係性というのも違ったりするので。でも、その友達の田中といるときの心君というのは、実際の自分と友達の打ち解け方と似ていると思いました。

◆鈴鹿さんにとって、心君は演じやすい役ですか?

演じるのは難しかったです。台本を読んでいて、想像できる心君の心情がたくさんあって、本当にりんごちゃんが、小夜ちゃんが好き?というものもあるかもしれないし、もしかしたらどっちでもないかもしれないという、心君には選択肢が多すぎるんです。でも、心君はあまり決断をしないから、その答えが台本に書いていないことが多く、自分で決めないといけないので、その枝別れした先の答えを見つけていくのが難しかったです。本当に選択肢が多いから、どういうふうに悩んでいるんだろうと、監督と話し合いながら演じていました。

◆心君を演じるに当たって大切にされたことは何でしょうか?

目を大切にしました。眼鏡を掛けているし、前髪も目にかかるくらいだったので、目の開き方や見え方で印象が変わってくると思うんです。きちんと意識したわけではないですが、目を隠す、出すことはそのときのお芝居の流れで感覚的に分けていました。それで言うと、アウターのポケットには手を入れないけど、パーカーのポケットには手を入れるということもしているのですが、そこはスタイリストさんと話し合って決めました。

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