お笑いコンビ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、『日曜はカラフル!』の打ち上げでクリス松村さんが放った金言の話。(TVLIFE 2025年4月23日発売号より転載)
新年会の1週間後に終了が決まったそうです。
今年の3月をもって、2年ほど準レギュラーとして出演させていただいたTOKYO MX『日曜はカラフル!』が惜しまれながら最終回を迎えた。
それまで深夜のお笑い番組にしか出たことない僕をお昼(ここ一年は夕方)の情報バラエティに快く迎え入れていただいたことは感謝してもしきれない。そんな様々な経験を積ませていただいた中でも、やはり最大の収穫はクリス松村さんとの出会いに違いない。
今まで出会ってきた芸能人の中でも群を抜いてパワフルな方で、いつも隣の楽屋から壁を貫く声量で喋っているため、否が応でもクリスさんの近況が耳に入ってくる衝撃は今でも鮮明に覚えている。
最終回はいつもと趣向を変え、ゲストを呼ばずにレギュラー陣のみで番組の思い出を振り返りながらパーティーをしようというもの。そのためにクリスさんが大好物という卵のおでんを作るためにVTRを観ながらひたすら殻を剥き続けるという、最後だから許される常軌を逸した構成でお送りした。途中ワイプで卵を剥くクリスさんの手元が映るなど、スタッフさん達を含めた全員でふざけ尽くした神回で締めくくることができたと思う。
収録が終わったあと、みんなで局内の大広間に移動して打ち上げが行われた。そこには現役のスタッフさんだけではなく、過去に関わっていた人たちも今日の収録を見学するためにいらしていて、この番組がいかに愛されていたかがわかる光景だった。ちなみにテーブルの上に置かれたいろんな食べ物の中には先ほどクリスさんが作ったおでんが置かれていた。まさか「スタッフが美味しくいただきました」を目の当たりにできるとは。
みなさんと思い出話に花を咲かせていたらあっという間にお開きの時間となり、クリスさんと一緒に建物を出た。定期的にお会いできる機会がなくなったので「もう会えなくなるの寂しいですね」と伝えたら
「恋人じゃない限り、別れなんてないわ」
と当たり前のように答えてくださった。突然のあまりにも素敵な瞬間をどうにか記録したいという気持ちから、自然とスマホを取り出して写真を撮らせていただいた。
この金言はきっと誰かを救うかもと思い、僕は一連をXに写真付きでポストした。卒業シーズンということもあり、別れを惜しんでいた多くの人々の心に沁みたという声が散見された。その一方で、僕の載せた写真が立体駐車場のど真ん中にいるクリスさんだったため、
「そのまま床が開きそう」
「元の世界に帰る前の言葉っぽい」
「クリスさんって車だったの?」
と、非常にワクワクする大喜利のお題として扱われていた。なんならそのような反応の方が多かったかもしれない。この予想外の展開に、僕は思った。
クリスじゃない限り、ボケなんてないわ。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。