水川あさみインタビュー「家族をつくるってすごくあったかいこと」ドラマ『我が家の問題』

特集・インタビュー
2018年02月03日

奥田英朗さんの人気短編小説集をドラマ化したプレミアムドラマ『我が家の問題』。4つの家庭のささやかな問題をそれぞれの妻の目線で描くオムニバスシリーズで、主人公の4人の若妻を一人で演じた水川あさみさんに、撮影エピソードなどを伺いました。

『我が家の問題』

◆今回は一人4役という難しい役柄だったと思います。演じてみていかがでしたか?

終わってみるとすごく楽しかったですね。一人で4人を演じるのはなかなか珍しいことですし、キャラクターの異なる女性を演じられたことは楽しかったです。でも、やっている最中は本当に大変で「どうしよう」っていうこともありました。

◆試写会見(1月26日実施)でも「芝居には瞬発力が必要だと感じた」とおっしゃっていましたね。

1つの役の撮影が終わると1日空くんですが、その時に次の役のせりふを覚えたり、どういう感じに演じるかを考えていたりしていました。1つの役だけなら事前にそれを考えられるんですけど、今回は4つ考えなければならないから、事前に全部はできなくて。役を考える作業が1日しかないので、それに対する瞬発力が必要でした。

◆1週間で1話を撮っていくようなスケジュールだったそうですね。

そうですね。1つの作品で4役を演じる場合は、1つの役にどっぷり浸かったり染まったりはできないので、私自身のキャラクターがにじみ出る部分を役柄に探したり、私にない部分をどう見せたらその役が成立するのかなということを常に考えていました。

『我が家の問題』

◆今回は1話完結の物語になっています。4つの家庭で抱える問題も異なりますが、全4話からは共通の雰囲気を感じることができました。

4話の中で共通しているのは、“夫婦のかたち”と“家族”そして “悩み事がある”ということですけど、全部、お話の最後には解決に向かっていくので、いわゆるハッピーエンドになっています。

◆見終わると心が温まりますね。

そうですね。でも、どのお話もハッピーエンドに向かうまでの手前に1つ山があるんですけど、夫婦がその山を乗り越える感じと、実際の撮影の大変さを乗り越える感じは似ていましたね。

◆撮影で大変だった部分というのは?

4話(2月25日放送)の小池(徹平)君とのお話を最後に撮ったんですけど、台本に8ページくらいの2人の掛け合いのけんかのシーンがあって。それは体力と精神力の山場でした(笑)。

◆4つの家庭の妻を演じてみて、結婚観は変わりましたか?

他人と日常を一緒に過ごす、父母兄弟じゃない人と新しく家族を作るっていうことはとっても大変ですよね。でも、今までの人生で経験したことがない、初めての経験を大人になってからしていくんだなって感じて。家族をつくることや家族が増えることってすごくあったかいことだなって思いました。

◆1話(2月4日放送)の家庭では子供も登場します。

長女役の豊嶋花ちゃんはびっくりするくらいしっかりしている子で。「私はこうなりたい」みたいなことを話してくれたのですが、自分よりも全然大人だなって思いました(笑)。作品の中でも彼女のアドバイスが大きく響いてきたりするので、私も自然とお母さんになれた気がします。弟役の潤浩君は、私が怒るシーンのとき何かをしていなければならないんだけど、ずっと下を向いてボーっとしていて(笑)。そういうハプニングも子供らしくて、子供がいる家族っていうのを感じることができました。

『我が家の問題』

◆今回は夫や家庭の問題に悩む妻という役柄ですが、水川さん自身は悩みがあるときはどうやって解決していますか?

悩み事の種類にもよりますけど、だいたい一回は自分の中で落とし込んで考えます。それでもモヤモヤするときは、自分にない言葉をもらえたりするので信頼する人に相談します。でも、最後はそれを咀嚼して「そうやって言ってもらったけど違うな?」とか、「そう言うということはこうなのかな?」とか、また自分の中で考えてみますね。

◆本作の妻が抱える悩みには共感することも多く、家族というものを再認識させられます。水川さんが感じた作品の魅力は?

日常には、嫌なことも、素敵なことも、面白いこともたくさん転がっていて、日常を生きるのはすごく大変なことです。作品では4つの夫婦の形が描かれていますが、夫婦で日常の問題を乗り越えていくのはとっても輝かしいことだなって思いましたし、夫婦じゃなくても、日々、大切に生きることの幸せをかみ締めていたいって思いますね。

『我が家の問題』

◆視聴者の方々にはどのように楽しんでもらいたいですか?

奥さんの立場で見ると、「旦那さんのこういうところが大変」みたいなことが作品と重なったりするのかなと思います。男性が見るとどうなのでしょう?(笑)でも、旦那さんは旦那さんで、仕事に行って帰ってきて、外と中の顔があるから、旦那さんもいろいろあって大変ということが皆さんに伝わるとうれしいです。

◆続編があるとしたら?

出演できたらいいなと思います。でも、この4人とまったく違う4人を作らなければならないって考えると、それぞれの8分の1を演じなければならないから…。もうちょっと人生経験をおいて、60歳ぐらいになったらやりたいですね(笑)。

 

■PROFILE

水川あさみ Asami Mizukawa
●みずかわ・あさみ…1983年7月24日生まれ。大阪府出身。AB型。2017年はドラマ『人は見た目が100パーセント』『僕たちがやりました』『居酒屋ふじ』『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』などに出演。

 

■ドラマ情報

『我が家の問題』プレミアムドラマ『我が家の問題』
BSプレミアム
2月4日(日)スタート
毎週(日)後10・00~10・49

<STAFF&CAST>
原作:奥田英朗 脚本:飯野陽子、矢澤春樹 音楽:新井誠志、きだしゅんすけ 制作統括:管原浩、平良英 演出:萩生田宏治
出演:水川あさみ、小泉孝太郎(第1回)、大谷亮平(第2回)、勝地涼(第3回)、小池徹平(最終回)ほか

<STORY(第1回)「夫とUFOに悩む妻」>
美奈子(水川)の夫・達生(小泉)がある日、会社からの帰宅途中、UFOを見たと言いだす。美奈子はUFOが本当にいるとは思えないが、翌日、達生の机の引き出しにUFO関連の資料が多数あることを発見。帰宅した達生に、本当に見たのか問いただす。すると達生は、帰り道の水辺の公園でUFOを見た時のことを詳細に話しだし、あっけにとられた美奈子は、夫の異変に我が家の危機を感じ始める。

©NHK