【インタビュー】『HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン』に出演!マシ・オカ インタビュー「ワクワク感、ドキドキ感を味わって」

特集・インタビュー
2015年10月21日

大人気ドラマシリーズの新章『HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン』が現在Huluで独占スピード配信中。このシリーズでヒロ・ナカムラを演じ、「ヤッター!」の決めぜりふで一躍人気を博したマシ・オカさんにインタビュー。俳優業、プロデュース業に加え、ゲーム開発会社を設立し、アプリ開発を行うなど、マルチな才能を発揮するマシ・オカさんにお話を伺いました。

新シリーズ発表はめちゃくちゃサプライズでした

(C)2015 NBCUniversal All Rights Reserved.

――新シリーズが製作されるというのはどんなかたちで知りましたか?

2014年の冬季オリンピックをNBCで見てたんですが、コマーシャルで「『HEROES Reborn』coming soon」って急にロゴが出てきて。何の詳細もなく、ロゴだけ。何これ?って。
『HEROES』のOBみんなでラインチャットみたいな感じで「聞いた?」って。みんな「知らない」って、びっくりしてました。

――サプライズだったんですね。

めちゃくちゃサプライズでした。その晩か次の朝に製作総指揮のティム・クリング氏から「ちょっと会わないか」ってメールが来たんです。

――この話を知ってどんな気持ちでしたか。

驚きが大きかったですね。まさかって。僕らとしては終わってたので。
ティム氏とはけっこう終わったあとも話をしていて、Xboxとかいろんなところで復活させるとか話してたから、力になるし、一緒にプロデュースしようって話してたんです。だからこの話が来たとき、みんなやっぱりびっくりして。まさかNBCで復活するとは思いませんでした。

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――出演する話は最初からあったんですか?

ティム氏と最初に会ったときは「ヒロのキャラクターを軸にして、昔のシリーズから3名呼びたい」って言われたんです。そのうちの1人がヒロで、「こういうアイデアあるんだ」『おお、いいですね。やりましょう。協力します』って言ってたんですが、僕が出演するもう1つのドラマが続いてて、契約上だめだって言われたんです。そこからティム氏はあきらめて、完全に方向修正しなきゃならないと。といっても具体的に決めてなかったので、アウトライン段階だったんですが。

――マシ・オカさんにとって、『HEROES』という作品、ヒロという役柄はどんなものですか?

人生の転機の作品ですね。これのおかげでいろんな道も開けて、いろんな経験もさせていただきましたからね。これがなかったら役者を辞めていました。ちょうど役者を辞めようかと決めていた年にこのオーディションが入ってきて。

――役者を続けるきっかけになった?

そうですね。いまはもう役者からちょっと裏方に回り始めてるところもありますけどね。

久しぶりのヒロ役に違和感はなかった

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――前作から5年後のキャラクターを演じましたが、意識されたことはありますか?

意識するっていうよりも、僕らも普通に年をとっているんですね。彼の成長もあったし、社長という立場になっていることで責任感が生まれたのかなという感じですね。

――5年の間にヒロに何があったかは描かれるんですか?

具体的に説明はされてないんですけど、クレアが全世界に能力者がいるということを公表したあと、ヒロはあまり表には出なかった。ヒーロー業というものを退職したみたいな感じで。長期休暇みたいな感じかな。あんまり目立った行動はしていなくて。彼の純粋さと正義感もまだあるけど、「ヤマガト・インダストリーズ」の社長になっちゃったので。責任がありますからね。

――久しぶりにヒロを演じた感じはいかがでしたか?

全然違和感はなかったですね。共演するのがジャック(・コールマン)とが多かったので。ほとんどのシーンが昔のシリーズのキャストと一緒だったので、同窓会の気分でしたね。監督さんもシリーズの総指揮をしていた1人でしたし、ティム氏もいたし、懐かしいなあという感じでした。

――すぐに当時に戻った感じですか?

けっこうハードなアクションをやってて、当時とはちょっと違うなとは思いましたね。昔は刀1つでサムライ系だったのが、今回は短刀を2つ使っているんです。「パワーアップしたい」って言われて。いやいや、刀の数を増やせばいいもんじゃないって。『HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン』のさらにRebornだったら三刀流になるのかって(笑)。口にくわえたりしてね(笑)。「これはサムライじゃない、ニンジャだ」って言ったんですよ。戦い方もどっちかというと中国のマーシャルアーツみたいに、乱舞みたいな感じで。サムライじゃないなあ…って(笑)。

――アクションシーンに向けて準備はされていったのですか?

準備はそれほどしてないですね。練習とか振りとか殺陣の稽古はしましたけどね。けっこう体が覚えていて、楽しかったですね。でも、大変だったのは、スタントマンなしで撮影しなきゃいけないときがあって、思いっきり共演者に蹴られたんですよ。ブーツが直接当たって目の下が切れて。プロデューサーたちがみんな青ざめてました。

――ヒロ役を演じてからガラっとすべてが変わったとおっしゃいましたが、歩いている人が寄ってきたりとかアメリカだとどういう反応なんですか?

アメリカだとフレンドリーで、ガッと寄ってきて一緒に写真撮るとか。よくこっちを見て「ヤッター!」とかはありましたね。怖かったのは、無名から急に有名になったので普通に歩いてても大丈夫かなと思ったら、ニューヨークで黒人の人が「ヒロ~」「ヤッター!」って手を上げたあのポーズでこっちに向かってきて(笑)。びっくりして僕も走りましたよ。3ブロックくらい追いかけられて、ヤバイ!と思ってタクシーに逃げました。大声で「ヤッター!ヤッター!」って言ってるからみんな何事だって注目浴びちゃって。あれは怖かったですね。

――どうするつもりだったんですかね?

正解が分からないですね(笑)。僕は甘く見ていて、オンオフの切り替えはできるのかなって思ってて。普通に歩いてたらプライベートだからって分かってくれるのかなって思ってたら、それは違いました。いっぺんみんなに知られちゃうと、もう戻れないんです。それを知らなかったんですね。
『HEROES』をオンエアする前のインタビューで“今期のドラマでブレイクする3人”っていう特集があって、そのうちの1人だったんですけど、インタビュアーに「普通に歩けなくなるよ」って言われて「いやいや、そんなことないだろ」って。甘く見てましたね。ほんとに歩けなくなっちゃった。

日本人が出演するのはすごくうれしい

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――今作は祐真キキさん、内門徹さんが出演されています。日本人が出演するのはどう思われますか?

すごくうれしいですね。今回、特にキャスティングしたとき「日本人を使いたい」っていうのがあったから。
やっぱり今はアジア人がいろんなテレビに出られるようになったので、アジア系の人が波に乗ってるっていうのがいいですね。
もっと日本人にアメリカ、ハリウッドの作品に出る機会があればほんとにいいと思います。2020年の東京オリンピックもあるし、日本が注目を浴びてる中でいいイメージをどんどん世界に出してほしい。やっぱりメディアの力は強力なので。
裏方としても、そういう道を開くために日本人をキャスティングできればいいなと思います。

――新メンバーとの共演はいかがでしたか?

楽しかったですよ。彼らも「見てました」ってリスペクトしてくれていて。
不思議な感じがしたのは、ドラマは彼らの番組で、ゲスト出演として参加しているから、撮影現場に着いたときにはみんなは2、3か月撮影してて「あれ?自分達の番組だったのに、今度は違う人の番組…」って(笑)。
でも、前の日にみんな一緒に夕食をとって。OBのキャスト達が集まって、ほんとに同窓会みたいなかたちになったんですけど、みんなで話したとき、「我々の意図は次世代にバトンを渡すことだ」って思ったんですね。これはファンに対しての恩返しであり、お世話になったスタッフや放送局の人たちに対しての恩返しで、我々は「HEROES」に出演することでチャンスをいただいたので、それを次の世代に渡せればいいなっていう感じで。OBが集まって、そういうような志で行きましょうって。ほんとにみんなで普通に写真を撮ったりして、新しい連中ともみんなで遊びに行って。すごいいい子たちですよ。
それでも不思議な感じでしたね。自分たちの番組なのか、そうじゃないのかっていうのが。だから少しノスタルジーはあったんですけど、ほんとにみんないい連中で。人数が多いんですよ。あと、みんな若い!18歳とか19歳。1人の女の子なんか15歳! 僕らが番組出てたときは小学生だって。「リアルタイムで見てなかった」って言われました。それが残念だった(笑)。

――新メンバーからアドバイスを求められたりすることはありましたか?

ときどきありましたね。こういうカルト的な番組っていうのはコミコンでもすごく人気があるし、カルト的なファンっていうのは、普通のファンよりも情熱的なので、ファンに対しての接し方とか、コミコンに行ったらこうなるよとか。そういうことは話しましたね。
僕も「HEROES」に出演したときは、レギュラー出演の経験がなかったので、ほかの先輩たちから、例えばファンと話すときはこういうふうにしたほうがいいとか、こういうふうにインタビュー受ければいいとか、いろんなアドバイスをもらってて。だから僕らも、特にキキちゃんとかトオルくんとか、みんなで日本人は今後どうすればいいとか、エージェントとか、パプリシティとか、アメリカのビジネスのシステムとかのアドバイスをしましたね。夕食会も何回もしました。

若い人たちや日本の人たちの道を開くきっかけに

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――話は変わるんですが…

お寿司は好きです!あ、違うか(笑)。

――(笑)。日本に帰ってきたときの楽しみは…

お寿司です!おいしいです。アメリカとは全然違いますよ。ネタも違うし。
楽しみはやっぱり食べ物ですよね。あと電車に乗るのが好き。きちんきちんと来るのでパズルみたいで。ラッシュさえ乗らなければ楽しいですね。

――プロデュース業も手掛けられていますが、俳優業とのバランスはどのようにお考えですか?

やっぱりバランスよくできればいいですね。俳優業って狙ってできる仕事ではないし。プロデュースも、けっこういろんな種を撒いているけど、時間が1年間かかるものもあれば10年間かかるものもあるので、いっぱいやることが大切。
基本的にいつも左脳と右脳を両方使いたいと思っていて、バランスが大切だと思うんです。どうしても役者業だけやろうとすると、バランスがとれなくていい仕事ができなくなっちゃう。
プロデュース業は、自分の道を開くことにも繋がるけど、やっぱり若い人たちや日本の人たちの道を開くことのきっかけを作ってあげたいという思いで取り組んでいます。
どうしても役者は役を与えられる側なので、攻める側じゃないんですよね。待って、チャンスがあったらオーディションに行って、受かるかどうかはいろんな要素があるので、自分でコントロールできない要素がいっぱいあるんです。まあプロデュースもそうですけど、一応アクティブに動けるんですよね。

――プロデュース業、俳優業に加えてアプリの開発なども行って大活躍のマシ・オカさんは、まさに「ヒーロー」だと思うんですが…

色々なことに興味津々なだけですよ(笑)。

――私たちのような凡人がマシ・オカさんのようになるにはどうしたらいいでしょうか?

自分が凡人と考えるからだめなんですよ。凡人は関係ないんですよ。自分で自分の壁を作ってるからいけないんですね。僕はいつも毎日をスタートとして考えています。物事を終えることも大切だけど、ゴールというのは別に決めないで、いつも動く。毎日スタートと考えることによって、いろんな新しい挑戦に対して柔軟性を持って、前向きに検討するっていうことですね。何がどこでつながるか分からないし、必ず学べることはあると思うんです。
オープンで柔軟な姿勢を持つことが一番大切だと思います。僕もいろんな日本の企業のワークショップとかやってるんですけど、「YES,AND」といって、何事も肯定から入りましょうと。否定っていうのはいつでも言えるんですよ。

教育システムの違いで、アメリカでは悪い質問は絶対ないんですね。質問したらちゃんと先生が答えてくれます。でも日本では、変な質問をしたら「何聞いてるの?」「バカじゃないの」って言われる。そうすると自分の探究心を追求することに対して恐怖を覚えてしまう。そういうことになっちゃうと、だんだん壁をつくっちゃう。自分はだめだ、自信がない、自分を出しちゃだめだって。ムラ社会だから輪になって、自分を出しちゃだめっていうのも分かるんですけど。それを逆に取り除く。みんな可能性を持ってるんですよ。
不思議なことに、周りの人の意見は信じるけど、自分で自分の言ってることを信じない。一番は自信を持って、勇気を持って恐怖に立ち向かうことです。

ハリウッドで映画を作るのが夢

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――日本でやってみたい仕事はありますか?

寿司職人?…違うな(笑)。漫画家とか面白いと思いますよ。僕は絵が超へたっぴなんですよ。でもストーリーとかを考えるのは好きだから、漫画家と一緒に何か作れたらいいなとは思いますね。
あとは映画監督。最終的にはハリウッドで映画を作るのが夢です。
いろんな日本の作品をせっかくあずからせていただいているので、ちゃんと丁寧に作って、私もファンも世界も納得できるような作品を作り上げたいですね。

アメリカでは日本側のプロデューサーってほとんどいないんですよ。そこで幸いなことに、このドラマで培ったアメリカでの知名度とか人脈とかを使ってプロデューサー陣に入って、原作者は絶対これはノーだ、ファンもノーだって口を酸っぱくして言うんです。

――アメリカの人にこの作品の大事なコアはここなんだよということを伝えるんですね。

そうです。何回も言うんです。ときどき、ローカライゼーションのために日本側を説得しなきゃいけないことはあるんです。そういうところは見極めなんですけど。
あと、脚本も書かなきゃいけないなと思ってるんです。漫画を読んでも英語にすると、意訳よりも翻訳されてニュアンスが消えちゃう。それをうまく英語で表現するというのが難しい。
日本には素晴らしい監督さんがいっぱいいるので、逆に僕がお役に立てるのはそっちの方向かなと思ってるんです。

――それでは最後に視聴者の方にメッセージをお願いします。

前作を見ていても、見ていなくても楽しめる作品です。普通の人々が超能力に目覚めたらどうなるのか。そのワクワク感、ドキドキ感をまた最初から味わってください。

 

PROFILE

マシ・オカ
1974年12月27日生まれ。東京都渋谷区出身。アメリカ在住。
『HEROES/ヒーローズ』(2006年)にヒロ・ナカムラ役でレギュラー出演し、注目を集める。
現在は、俳優のほか、プロデューサーとしても活躍中で、ハリウッド実写映画版「デスノート」の製作に携わる。
また、ゲーム開発会社「メビウス・デジタル」を設立し、アプリ開発なども手掛けている。


作品情報

「HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン」
10月20日(火)より Huluにて独占スピード配信中

Hulu公式サイト(http://www.hulu.jp/
作品公式サイト(http://heroesreborn.jp/

(C)2015 NBCUniversal All Rights Reserved.