上白石萌歌「最後まで熱を持ってお芝居をしていきたい」『ペンディングトレイン』インタビュー

特集・インタビュー
2023年05月05日
『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』©TBS

山田裕貴さん主演の金曜ドラマ『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(TBS系 毎週金曜 午後10時~10時54分)に出演中の上白石萌歌さんにインタビュー。本作は、偶然乗り合わせた電車が未来の荒廃した世界にワープし、何もかも遮断され“ペンディング”された“非日常”の世界へと放り出された乗客たちが、共にサバイバル生活を生き抜く姿を描くヒューマンエンターテインメント。優斗(赤楚衛二)に好意を抱く、高校の体育教師・畑野紗枝を演じる上白石さんに、現場でのエピソードや共演者の印象について聞きました。

◆現在、2話まで放送されていますが、上白石さんの元にはどんな反響が届いていますか?

私が考えもしなかったような「そんな細かいところまで見てくださっているんだ」というぐらいの考察を皆さんがしてくださっています。1話の冒頭で私が赤ちゃんを抱いて、ホームを走っているシーンはもう既にいろんな考察がたくさん出ているんです。私はあまり気にしていなかったのですが、キャリーバッグの大きさとか、そういう細かいところまでも皆さん考えて見ていらっしゃるんだなと思って。みんなが本当にこだわって毎日1シーン1シーンを重ねて、すごく丁寧に作っていることが、皆さんに届いているんだなと実感しています。

◆作り込まれたセットや大自然のロケ地が印象的ですが、最初に現場を見たときの感想を教えてください。

本当にペンディングされてしまったんだなと。「なんてところに来てしまったんだ、あんな電車に乗らなきゃよかった」と思うぐらい、セットだけでなくロケ地も、スタッフの皆さんがきっと苦労して見つけてくださって。そのセットやロケ地に立つだけで、自然といろんな感情が湧き起こってくるので、すごく救われているんです。それはどれだけ頑張って自発的に感情を出そうとしても、出せるものではないので、スタッフの皆さんの愛情や、「絶対にこの作品をいいものにしよう」という心意気が、私たちに「この場所に負けないお芝居や存在でいられるようにしよう」と思わせてくれます。

◆紗枝を演じる上で心掛けていることはありますか?

紗枝は赤楚さん演じる白浜と同じように、乗客の皆さんの調和を保つことや、みんなが命を落とさずに安全でいられるようにということを意識して、振る舞う立ち位置。教師をやっている以上、誰かの命やいろんなことに責任を持っていますし、人のことをいつも思いやれる人だと思っています。なので、誰かの言葉を受け取るときの視線はなるべくその人に寄り添えるように、私が言葉を渡すというよりも、受け取ることの方が、紗枝は多い気がするので、ちゃんと柔軟な心で新鮮に受け取れるようにしようと心がけています。

◆紗枝とご自身で似ているところはありますか?

今回、脚本の金子ありささんには脚本を作る前に一度お会いして、私がどういう人なのかを聞いてくださる場を設けていただいたんです。紗枝は自分と似ているなという部分がすごく多くて、「こういう時、私もすぐ発言できないだろうな」とか、2話に出てきた多数決のシーンも「もしかしたら、私もパッと手を上げられないんじゃないかな」と思って、自分の延長線上にある役だなと感じています。ただ、紗枝ほどの正義感だったり、ただ同じ電車で、そこに居合わせただけの人たちなのに、あそこまで自分以外の人に気を配られたりとか、守ろうとするところはすごいですよね。その責任感や人のことを思える力とか、どんな時も前向きでいようとするところだったり、見習いたい部分もたくさんあります。

◆共演者の皆さんとのエピソードを教えてください。

本当にどんどんチーム感が出てきていて、3話の見どころの1つに、乗客みんなのチーム感があるんです。みんながそれぞれのキャラクターにどんどん寄ってきているというか。米澤を演じている藤原丈一郎さんは本当にどんなときもムードメーカーで場を和らげて盛り上げてくれていますし、加藤を演じている井之脇海君も普段から博識でいろんなことを教えてくれたりするので、みんなそれぞれのキャラクターが当て書きなんじゃないかというくらい、その人の良さがキャラクターにも反映されている気がします。

◆クランクイン当初と比べてみていかがですか?

最近、どんどん距離が縮まっていますね。最初の頃と比べると、みんなでコミュニケーションを取るようになってきていますし、1シーンを作り上げるのに、「ここをもうちょっとこうしてみようか」とか、みんなで細かいところまで話し合っているので、本当に回を増すごとに登場人物がどんどん結束していくように、私たちもどんどん結束していくのが分かるので、これまでみんなと一生懸命サバイブしてきたかいがあるなと思ってます。

◆今回、過酷な環境下での撮影でかなり大変だとは思いますが、待ち時間に皆さんで盛り上がっている出来事などありましたら教えてください。

最近は本の貸し借りがすごくはやっています。和真を演じている日向亘君が読書家で、本屋大賞を取った本を教えてくれたり、弘子を演じている大西礼芳さんが漫画好きで、お薦めの漫画を貸してくださったり。先日は、日向君が薦めてくれた本を藤原さんも読まれていて、「どこまで読んだ?」「あそこはどう思った?」とお話しできるのがすごく楽しいですね。私、クランクインする前も学園ものみたいだなと思ってたのですが、どんどん学園もの感が増してきたというか。大人になってから、毎日同じ人と顔を合わせるということがあまりないので、その感じがすごく楽しくなってきているなと思います。

◆年齢的なことは感じずに、キャストの皆さんでワイワイとされている感じですか?

そうですね。柔らかい方が多くて、年齢差も全然気にならないですし、みんなで本当に楽しく盛り上がっていますね。雑談するときは本当にくだらないことばかり話をしていますけど、すごく雰囲気のいい現場だなといつも感じています。

◆その中で意外な一面があるなと思われたキャストの方とかいらっしゃいますか?

1番ギャップがあったのは赤楚衛二さん。あまりはっちゃけたりとか、ふざけるイメージがなかったんですけど、すごくふざけることが好きな方で、毎日小ボケをかましてくださったりするんです。こんなおちゃめな一面があるんだなというのを初めて知ったので、すごくすてきなギャップだなと思います。

◆以前、山田さん、赤楚さんとの3人のインタビューのときに、赤楚さんが上白石さんに対して「ギャップがあって、こんな面白いとは思わなかった」と言われていましたが、お互いギャップを感じられていたんですね。

私は、たぶん赤楚さんの面白さに引き出されてるところがあると思います(笑)。ふざけることが好きな方が多いので、すぐに小芝居が始まったりとか、楽しくやっています。

◆1話、2話を振り返って、好きなシーンはありますか?

乗客の皆さんと大勢で作り上げるシーンの臨場感はもちろんですが、直哉と優斗と紗枝、3人の心のやりとりみたいなシーンが毎話1回は必ずあるんです。大勢でお芝居を作っているときは舞台を作っている感覚に近くて、対して3人のシーンはより丁寧に繊細に、お互いの気持ちの受け渡しができていると思うので、少人数のお芝居もじっくり見ていただけたらうれしいです。

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