浦沢直樹×手塚治虫『PLUTO』Netflixで23年アニメ化 アトム&ウランも登場の制作決定PV公開【コメントあり】

アニメ
2023年02月15日

浦沢直樹原作の傑作漫画『PLUTO』がNetflixでアニメ化され、2023年に独占配信されることが決定。浦沢ら原作スタッフ陣のコメントが到着し、制作決定PVも公開された。

「20世紀少年」「YAWARA!」「MASTERキートン」(脚本:勝鹿北星・長崎尚志)など、数々のヒット作を生み出している浦沢が、漫画の父・手塚治虫が生み出した「鉄腕アトム」の一篇「地上最大のロボット」(1964年)を原案に、長年作品を共につくってきた長崎尚志をプロデューサーに迎え、葛藤しながら描き上げた傑作『PLUTO』(2003年)。

舞台は人間と高性能ロボットが完全に共存する、近未来の社会。世界で最も優秀なロボットが次々に暗殺される怪事件が発生する。真相を追うロボット捜査官ゲジヒトとアトムは、やがて世界を破滅へと導く史上最悪の憎しみの存在に気づく。

壮絶にして悲しきロボット叙事詩となった本作は、手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。2011年アングレーム国際漫画フェスティバルでインタージェネレーション賞、その他ACBDアジア賞を受賞するなど、国内外から高い評価を得た。

2015年には舞台化され、2018年に再演。日本はもちろん、イギリス、オランダ・ベルギーと欧州ツアーも敢行され、多くのファンに映像化を待ち望まれていた作品がついにアニメ化を果たす。

制作プロデュースはジェンコ、アニメーション制作はスタジオM2が担当。映画「この世界の片隅に」で国内興行収入27億円を記録し、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞や第41回アヌシー国際アニメーション映画祭長編部門審査員賞など数々の映画賞に輝いた、企画・プロデューサー陣が再集結する。

エグゼクティブプロデューサーとしては、25年に渡り日本のアニメビジネス全体をけん引してきてきた真木太郎と、これまでの浦沢直樹原作のアニメ化を手掛けて来た丸山正雄が名を連ねる。

併せて、本作の制作決定PVも公開。物語の主人公であるユーロポールのロボット捜査官ゲジヒトと、彼が追うある事件に関わるアトムとウランという二人のロボットも登場。どのようなドラマが描かれるのか、期待が高まる映像となっている。

そして、映像に登場したキャラクターたちを演じるキャストも明らかに。ゲジヒト役にはスパイ映画の金字塔「007」シリーズや映画「ナイブズ・アウト」シリーズでダニエル・クレイグの吹き替えを担当している藤真秀。

アトム役には『SHAMAN KING』(2021)の主人公・麻倉葉や『けいおん!』の秋山澪など幅広い演技経験を持つ日笠陽子、そしてウラン役は『マクロスΔ』でヒロインのフレイア・ヴィオンを演じ、今年歌手活動5周年を迎えた鈴木みのりが抜てきされた。

さらに、3月25日(土)と26日(日)に東京ビッグサイトで開催される「AnimeJapan 2023」に、浦沢の初参加が決定。25日の「BLUE STAGE」で実施される「ネトフリアニメ スペシャルステージ」に、浦沢、原作監修の手塚眞、日笠、鈴木が登壇する。
浦沢、長崎、手塚のコメントは下記に掲載。

コメント

浦沢直樹

60年前の発表以来、その言いようのない切なさに私の心が揺さぶられたように、多くの人の「心の漫画」となった「鉄腕アトム」の挿話「地上最大のロボット」。
この作品のリメイクがいかに難事業かを身をもって知る私は、今回のアニメ化に挑むスタッフの皆さんの勇気に心から拍手を送るとともに、新たな「心の作品」の誕生に心躍っています。
今こそ手塚治虫さんのメッセージが世界中に届きますように。

長崎尚志

60年前、『PLUTO』の原作「地上最大のロボット」が誕生した。
最強の戦闘能力を持つロボットたちが競う物語だったが、これまでのアトムにはこの手の対戦形式の作品はなく、当時の少年たちは熱狂した。アトムファンというより「地上最大のロボット」ファンの誕生だ。その渦中にいた私は、この作品が単に誰が強いかを描いた作品ではなく、もっと深い何かを伝えたいのではないか、と感じていた。
そして『PLUTO』に挑んだ時、答えが出た。手塚治虫は預言者だったのだ。現代、我々が直面している戦争とは、東西の文化や考え方の違いを理解し、尊重しなかった結果である。『PLUTO』はその手塚哲学を受け継ぎ、ただ反戦を訴えるのではなく、そこには痛みが伴うこと……それでも平和しかないということを世に問いたい作品なのだ。

手塚眞

ついに、やっと、『PLUTO』がアニメになる。いつかこれは映像にされるべきだと思っていた。
何度も企画が立ち上がりまた消えていったのは、その内容の難易度の故だ。確かにハードルが高い。
しかしだからこそ挑戦のしがいがある本物中の「本物」だ。
そしてこれは新しい浦沢アニメであると同時に、新しい手塚アニメでもある。
アニメの進化形をどのように見せてくれるか、とても楽しみだ。

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