すい(飯豊まりえ)の本心に謎は深まるばかり…“ザ・嫌な女”瑞貴を演じる若月佑美にも注目『何曜日に生まれたの』

ドラマ
2023年08月20日
『何曜日に生まれたの』©ABC

飯豊まりえが主演を務めるドラマ『何曜日に生まれたの』(ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット 毎週日曜 午後10時~)の第3話が、8月20日(日)に放送された。

本作は、『101回目のプロポーズ』『高校教師』『未成年』などセンセーショナルな作品を世に送り出してきた野島伸司が脚本を務めるオリジナルドラマ。高校時代の“ある出来事”をきっかけに、10年間ほぼ引きこもり生活を送っていた27歳の黒目すい(飯豊まりえ)が主人公の物語だ。

8月20日(日)に放送された第3話は、すいを取り巻く同級生たちのキャラクター&その関係性が色濃く見えてきた回となった。高校の頃、すいが想いを寄せていた悠馬(井上祐貴)は、実はすいのかつての親友・瑞貴(若月佑美)の夫だったことが判明。

さらに、すいが一緒に事故に遭った純平(YU)と悠馬は、仕事上ではクライアント関係。今では大手化粧品メーカーの常務の純平に対し、悠馬は広告代理店の営業マンとして売り込む立場にいる。表面上ではこれまでと変わりなく純平に接している悠馬だが、飄々と成功者然としている純平に、どこかコンプレックスを抱えているようにも見える。ただの爽やかポジションとは一線を画す井上の演技は、まだまだ何かを秘めていそうだ。

『何曜日に生まれたの』©ABC

また、今回は一見かわいらしい瑞貴の本性“ザ・嫌な女”な素顔が明らかになる回でもあった。高校時代、瑞貴は「親友だよね」とすいの手を握りながらも、同じ人(悠馬)を好きになったと分かるや否や「向こうから告られるまで自分からは告白はしない、淑女協定」と、すいをけん制。しかし、自分はちゃっかり悠馬に告白し、揚げ句の果てには「お願い、消えてほしいの。親友でしょ?」とすいに迫りさえしたのだ。

小悪魔の範囲では収まりきらない、デモニッシュな瑞貴のすごみは物語に強烈なインパクトを与えた。にっこりほほ笑みながらさらりと自分の要求を通す難易度高めの技を、しなやかに演じる若月の自然体の演技が光る。やりすぎると昼ドラになってしまうこの役どころ、その一歩手前で塩梅を見つつ「現実にいそう」な女に落とし込めている。

そんな瑞貴にがんがんやられていくすいを演じる飯豊も、安定の“不安定”な演技で魅了する。一連の瑞貴との過去のやりとりを思い出し、いつもの発作を起こしてしまうすい。そこで感じるのが、すいこそ、ヒロインながらもその胸中が今ひとつつかめない人ということだ。

『何曜日に生まれたの』©ABC

いくら創作のネタのためとはいえ、10年もひきこもるきっかけとなるトラウマ的な思いをさせられた親友や仲間たちに、再度会おうとするものだろうか。さらに言えば、悠馬のことを当時から本当に好きだったのか、今のところいい男然としている純平にはどんな思いを抱えていたのかなど、疑問はふつふつと湧いてくる。それらの謎は深まるばかりで、こちらをモヤモヤとさせる飯豊の余白を残す演技が「続きを見たい」という物語の中毒性を担っている。

4話ではさらに高校時代のサッカー部のキャプテン、マネージャーの男女が参戦し、物語を引っかきまわしてくれそうだ。

番組情報

『何曜日に生まれたの』
ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット
毎週日曜 午後10時~

番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/nanuma/

●text/赤山恭子