天海祐希「今が老後と決められる時までぶっちぎって走りたい」映画「老後の資金がありません！」大ヒット祈願イベント

10月30日（土）に公開される映画「老後の資金がありません！」の大ヒット祈願イベントが行われ、天海祐希、草笛光子、新川優愛、毒蝮三太夫が登壇した。

本作は2011年に刊行され、34万部を突破した垣谷美雨のベストセラー小説が原作。天海が演じる主婦・後藤篤子は、どこにでもいるごく普通の主婦。子育ても落ち着き、老後は安泰のはずだったが、親の葬式、子供の派手婚、夫の失職、セレブ姑との同居と、あらゆるお金の災難が立て続けに襲ってくる中、悩みもがき奮闘しながらも逆境に立ち向かう。監督は「こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話」（18）の前田哲が務める。

天海は「（新川演じる）自己主張の強い娘や、（草笛演じる）強力なお義母さま、楽しい家族と頑張っている主婦を演じました。すごくすてきな方向へ話が進むHappy！な映画が完成して、少しでも安心して映画館に足を運んでいただけるように、ということで公開を1年延期して、いまも大変な最中ですが少しでもこの映画でHappy！な気持ちになっていただけたらいいなと思っています」と、氷川きよしの歌う主題歌のタイトル「Happy！」にもかけてあいさつ。

新川は「先輩方と一緒で今も緊張しているんですけど、撮影現場でも皆さん優しく話しかけてくださったので、すごく楽しく参加させていただいて、笑いの中にウルッときたり、ハートフルな物語になっているので楽しんでいただきたいです」と。毒蝮は「私は敵のような役なのですが、この難しい時代にとても軽妙な、フランス映画の味もする大喜劇を撮られて、そこに参加できてとてもうれしい。天下の草笛さんに『ババア！』とせりふを言ったのは本当に気持ちよかった（笑）。このコロナ禍で、一番効くワクチンがこの映画です！」と力を込めた。

過日、88歳の米寿を迎え、地元からお祝い8千円が贈られたという草笛は「こうやって元気に生きられていて、皆さんとこうしてお仕事ができて、今が最高に幸せな時です。酷い顔で、かき回しているような役で、できれば見ていただきたくない私が出ています（笑）。最初は、私にはできませんと言おうと思ったら、監督に生まれて初めて『あなたは何もしないでもおかしいから』と言われて、私の女優としての考えを変えようと思いました。そういうふうに撮ってくださった監督に今では感謝しています。おかしくって、涙ぐましくて、楽しい何かを感じていただけたら」と芸能生活70年を超えてなお、新たな境地を披露した本作への想いを語り、会場を沸かせた。

天海、草笛、毒蝮がそろったシーンの撮影では、毒蝮演じる頑固おやじのような役に草笛が変装する設定。さらに本番中に草笛の歯が本当に抜けてしまったようで、草笛は「70年やってきましたけどこんなの初めてなんです。歯が抜けて、変装もして一番醜い顔がスクリーンでアップになるなんて死んだほうがマシだと思ったんですけど、撮らせてあげちゃった！」とちゃめっけたっぷりに当時を振り返った。

天海は「嫌だったと言われてますけど、もういいわよ別にこれで、と腹をくくっておっしゃられてました。こらえられなくて『一回笑わせてもらっていいですか？』とお願いして、思い切り正面から笑わせていただきました（笑）」と裏話を披露。毒蝮も「今回草笛さんと共演したのがそういう姿のときだけで、いつものきれいな姿を見ていなかったので、汚いババアだな！というインパクトだけで終わってしまった（笑）」とさすがの毒舌全開で盛り上げ、草笛がすかさず「ジジイよ！（笑）」とツッコんだ。新川はこの作品を経て「一人娘なので、親に何かあったときの準備はしていたいのですが、積み立てを増やしました」とまさしく親の老後の資金を考えて行動していることを明かした。

タイトルにある”老後”はいつからなのか、と話が及ぶと、天海が「いつから老後なのか分からないので、今が老後と決められる時までぶっちぎって走りたい。すてきな先輩がいらっしゃるのでお手本にして頑張りたい」と力強く語ると、草笛が「私はいまを面白がってますよ、88歳になるのは初めてだから、こうなるんだ！って」と切り出す。毒蝮が「85歳になったけど、元気で歳をとらないと面白くもないし、映画の中でもそれが出ているけど草笛さんみたいな年寄りをたくさん作らないと」と続くと、草笛が「年寄り年寄り言わないで！（笑）」と制し、丁々発止の掛け合いに現場の雰囲気の良さ、息ぴったりな俳優陣の関係性がうかがえた。

いろいろなピンチに立ち向かう映画にちなんで、最近起こったピンチを聞かれた天海は「最近まで連続ドラマをやっていて、ものすごくしゃべる役だったので毎晩ピンチ!!　と思ってせりふを覚えてました」と。新川も「一昨日まで舞台をやらせていただいていて、少し忘れてしまったときに頭が真っ白になってしまって…自分でも何を言ってどうつなげたのか覚えていない。ピンチでしたね…」と明かした。

天海は最後に「私たちの思いが詰まった映画が完成しました。ちょっぴり泣いて、笑ってHappy！になって、皆様への励ましになったら良いなと思っています」と映画をアピールした。