『姫様“拷問”の時間です』白石晴香×小林親弘インタビュー! 信頼し合うふたりだから生まれたボケとツッコミの掛け合いが作品を昇華させる

特集・インタビュー
2024年02月18日
(左から)小林親弘さん、白石晴香さん
(左から)小林親弘さん、白石晴香さん

集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載中の『姫様“拷問”の時間です』がTVアニメ化。2024年1月8日からTOKYO MX、BS11、関西テレビで放送中だ。

本作は、魔王軍に捕らえられた国王軍の王女にして第三騎士団騎士団長の姫が、拷問官から目の前で熱々のたこ焼きを食べる様子を見せられたり、まったりと温泉に入れられたりなど、趣向を凝らした数々の“拷問”を受けることになる、というストーリー。

今回は姫役・白石晴香とエクス役・小林親弘にインタビュー。お互いに信頼しているからこそ生まれた掛け合いについてのほか、2024年の目標や、おふたりが推したいエンタメについてお聞きしました。

◆最初に原作を読んだときの感想を教えてください。

白石:オーディションを受ける前から原作を読んでいたのですが、とにかく面白くて。「こんなに声を出して笑ったのは久しぶり」というくらい笑いながら、最新話まで一気に読んじゃいました。食べ物に関連する“拷問”や数々の誘惑をされる姫様の気持ちには共感するばかりです。

◆“拷問”と聞くとシリアスな作品なのかなと思っていたら、実際はぜんぜん違うという。

白石:いい裏切り方ですよね(笑)。

小林:姫様は確かに高貴な人なのに、日常の小さな喜びを発見するのがとても上手なんですよね。そういう姫様の様子を見ていると「昔はこういう些細なことを面白いと思っていたよな」と懐かしくなり、ちょっとウルっときました。

白石:些細なことを掘り下げるのが、本作はとても上手いですよね。

小林:誰でも1回は感じるであろうことを物語として広げるのがとても上手で。先生の視点がすごいなと思いました。

◆演じるキャラクターの紹介をお願いします。

白石:姫は国王軍の王女にして第三騎士団騎士団長ですが、現在は魔王軍に囚われています。間違いなく強いですし、みんなを率いることもできる人なんですけど、“拷問”を受けるときは、よだれまみれになることもあって(笑)。騎士らしいかっこいい部分と、欲望の化身となるかわいい部分が共存しているんですよ。高貴なはずなのに庶民的過ぎるので、見ているみなさんに騎士だと忘れられないよう、頑張って最後まで演じました。

小林:僕が演じるエクスは、代々王家に仕えてきた意思を持つ聖剣です。姫様と共に魔王軍の手に落ちて監禁されています。……まぁ、ポジションとしてはツッコミ役ですね(笑)。読者のみなさんが「これ、おかしいんじゃないの」とツッコミを入れたくなるところを代弁してくれる存在と言えるかもしれません。「姫様は絶対にそういうことはしません!」という発言は、前振りのような気がしなくもないですが(笑)。

白石:確かに(笑)。

小林:ただ、中盤ぐらいの収録で「姫様を尊敬する気持ちを忘れないで」というディレクションを受けたことがあって。エクスは本気で「姫様は絶対に変なことをしない」と思っているんです。

白石:「もうこいつ、いつも屈するからダメだろうな」という小林さんの気持ちが、漏れちゃっていたんですよね(笑)。

小林:「今日もどうせダメだろうな」という諦めが強すぎてしまったようで、指摘を受けました。

白石:エクスくらいは姫様のことを信じてください!

小林:か、かしこまりました!

◆続いて、お互いが演じるキャラクターの印象も教えてください。

白石:エクスは状況説明などをしっかりしてくれて、ストーリーを締めてくれる存在だと思っています。剣ではありますが、アニメになったときにエクスの表情みたいなものがより見えてきたんですよね。それは演出に加えて、小林さんのお芝居の力があったからだと思っていて。

◆小林さんのツッコミぶりはいかがでしたか?

白石:エクスって、ほとんどのツッコミが「姫様!」なんですよ。でも、小林さんはものすごいバリエーションの「姫様!」でツッコんでくださって。アフレコの終盤あたりには「姫様!」ボイスを集めた音源を出してほしいと思うようになったくらいです。

小林:その音源、必要!?

白石:聞き比べたくなるほど、巧みなんです(笑)! 回を増すごとにバリエーションも増えていき、驚くばかりでした。そのツッコミに耳を傾けてしまった瞬間、感情がボロボロって崩れると思って。実はアフレコ中は、できるだけ聞かないようにしていたんです。

小林:えっ、そうだったの!?

白石:はい(笑)。それでも笑いをこらえられなくなりそうなときがあって。それくらいインパクトのあるツッコミをたくさんしていただきました。

小林:エクス役が決まった段階では、誰が姫様役になるのかは知らなくて。しばらくしてから、「白石晴香さんです」と聞いたときに、この作品は成功すると確信しました。というのも、違う作品でも白石さんと共演していて、ボケにゆるぎない信頼を置ける方だということを分かっていたから。実際、予想していないボケを常にしてくださいました。

白石:「ボケ」って言われるとちょっと……(笑)。姫様は本気なんですけど!

小林:そうね(笑)。その本気がめちゃくちゃ面白い。本当にどんな出方をするのか予想できなかったので、後半の話数からは、姫様との掛け合い部分は事前練習せずに本番へ臨んでいました。どう出るか分からないから、決め過ぎてもしょうがないですし。乗っからせていただきました。

白石:姫様は心の声が漏れちゃうタイプなので、全力でその様子を表現しました。それをエクスが全力でツッコんでくれるんです。私も小林さんに絶対的な信頼があって。だからこそ生まれた掛け合いもあったんじゃないかな。

小林:それはあった気がします。現場で「ここ、アドリブお願いします」と急にお願いされることもありましたが、すんなりできて。

(左から)小林親弘さん、白石晴香さん
(左から)小林親弘さん、白石晴香さん

◆アフレコ現場はどんな雰囲気でしたか?

白石:本作のアフレコでは、ありがたいことに美味しそうな差し入れを毎回用意してくださって。ただ、私はアフレコ期間中ダイエットをしていて……。それこそ姫様と同じく「屈しないぞ」という気持ちで収録に臨んでいました。それなのに、一部のキャストさんが私の目の前にやってきて。

小林:一部のキャストさんがね、白石さんの目の前で差し入れをわざと食べるんですよ。

白石:……。その一部のキャストさんって誰のことですかね!?

小林:誰だろうね? きっとここにはいないでしょう。

白石:ですね。小林親弘さんっていう方なんですけど。あとは“拷問”の天才であるトーチャー・トルチュール役の伊藤静さん。主にそのふたりが私の目の前で、すごい顔をしながら差し入れを食べるんですよ。もうまさに“拷問”。リアルにその感情を収録にぶつけることができたので、ある意味よかったかもしれないですけど!

小林:とてもいい姫様でした。

白石:くぅ! ふたりからされた仕打ちを忘れずに収録に臨んで、叫びました。

小林:あのときはごめんなさい(笑)。でも本当に毎話美味しい差し入れがあったよね。

白石:ドーナツとか、作品に関わる差し入れも用意していただけたんです。

◆本作は2024年1月にスタートした作品です。おふたりの2024年の目標を教えてください。

白石:私、20代ラストなんですよ。

小林:あっ、そうなんだ! 驚いてつい大きな声が出てしまった。

白石:小林さんには20代前半からお世話になっていて、コンスタントにお仕事をご一緒しているから、あっという間という感じがありますよね。

小林:そう。22、3歳の頃の印象がずっとある。

白石:もう20代ラストなんですよ。なので、やりたいことも、やっとかなきゃいけないと思うこともいっぱいあって。

小林:やりたいことのベスト1は?

白石:まずは生活周りを整えていきたいです。年を重ねるごとに「こうしたほうがもっと生活しやすくなるよ、将来のためになるよ」という情報がどんどん耳に入ってくるようになって。ちゃんと自分でも勉強しないといけないなと思っています。あとは一人旅。コロナ禍になる前に目標として掲げていたのですが、状況的になかなかできなくなってしまって。これからいろいろなところへ行って、刺激を受けたいです。

小林:どこに行きたいですか?

白石:ローマに行ってみたいです。小さいときに『ローマの休日』を見てから、ずっと憧れているので、休みが取れたら行きたいですね。役者の面では悪役などを演じる機会があまりなかったので、挑戦したいです。年齢を重ねてきたからこそできる役もあると思うので、これからの役者人生のための準備も、今からやっておきたいなと思っています。

小林:僕は、まずは美味しいカレーを作る。

白石:カレー好きだったんですか!?

小林:今まで功名に隠してきたけど、実はいちばん好き。スパイスづくりも含めてやってみたくて。既にコリアンダーなどを買ってはいるんですよ。でも実行できていなくて。毎年1月くらいは「ことしはこれをやるぞ」という機運が高まっているのですが、これまでひとつも実現したことがありません。

白石:意外です!

小林:2、3月くらいに「無理かも」って思っちゃって。

◆2024年は決めたことをやる。

小林:あっ、それいいですね! 決めたことはやる。カレー作りをやると決めたなら、やる。

白石:極めたら『姫様』チームに振舞ってください。

小林:がんばります!

(こんなお話も!)おふたりが読者の方々に推したいエンタメは?

白石:YouTubeですね。私、音があるほうが集中できるタイプで、台本を読んでいるときにテレビやYouTubeをずっと流しているんです。特にYouTubeは自分の趣味・趣向に合ったオススメ動画がピックアップされるので、自分の好きな世界がどんどん広がっていって。チャンネル登録している数は100を超えているかも。

小林:そんなに! 特にオススメは?

白石:平成フラミンゴさんの動画をよく見ます。動画を配信されているおふたりは、小学1年生の頃に手を繋いで入学式の入場をされたらしくて。そのときからの大親友ふたりが、今こうやってYouTubeの配信をやっていらっしゃるんです。

小林:そのエピソードを聞いただけで涙が出る。

白石:すごくすてきですよね! ふたりが繰り広げる会話がただただ面白くて。友達を超えて家族のようなふたりの会話が自分の日常にも欲しくなるときがあって、ついつい聞いちゃいます。

小林:僕はよく映画を見るので、まずはそれですね。あと最近は「Fit Boxing」にハマっています。スタジオ仕事が多いと体を激しく動かさないから、舞台をやっていた時代に比べると体が重くなってきちゃって。何か運動をしなきゃと思っていたところに、「Fit Boxing」の話を聞いて手を出してみました。そしたら、始めてからすぐに2キロぐらい瘦せたんです。今も(ゲーム中でインストラクター役の)大塚明夫さんに毎日しごかれています(笑)。ダイエットを検討されている方は試してみてもいいかもしれません!

(左から)小林親弘さん、白石晴香さん
(左から)小林親弘さん、白石晴香さん

●text/M.TOKU

プロフィール

白石晴香
●しらいし・はるか…4月8日生まれ。東京都出身。トイズファクトリー所属。主な出演作は『ゴールデンカムイ』アシㇼパ役、『HIGH CARD』ウェンディ・サトー役、『アイドルマスター シャイニーカラーズ』園田智代子役など

小林親弘
●こばやし・ちかひろ…9月5日生まれ。愛知県出身。アトミックモンキー所属。主な出演作は『ゴールデンカムイ』杉元佐一役、『ムシブギョー』白榊夢久役、『転生したらスライムだった件』ランガ役など

作品概要

『姫様“拷問”の時間です』
2024年1月8日(月)からTOKYO MX、BS11、関西テレビで放送中
ABEMAにて地上波同時見放題配信

〈キャスト〉
姫:白石晴香
エクス:小林親弘
トーチャー・トルチュール:伊藤静
魔王:玄田哲章
陽鬼:永瀬アンナ
陰鬼:井上ほの花

〈スタッフ〉
原作:春原ロビンソン・ひらけい(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:金森陽子
シリーズ構成:筆安一幸
キャラクターデザイン:河野敏弥、古橋聡
音響監督:明田川仁
音楽:横山克
アニメーション制作:PINE JAM

WEB

公式サイト:https://himesama-goumon.com/
公式X:https://twitter.com/himesama_goumon

(C)春原ロビンソン・ひらけい/集英社・国王軍第三騎士団