近藤頌利インタビュー「どんなジャンルでもお芝居をやる軸は一緒。ちょっと幅が違うだけ」

特集・インタビュー
2021年09月17日

近藤頌利インタビュー

◆2.5次元演劇ならではの楽しさや工夫はありますか?

例えば原作の漫画で、せりふは書かれてないけど、背景としてしゃべっているというような描写をキャッチして、演じたりします。ほかにも関係位置、例えば先輩後輩だったらこういうふうにするだろうな、というようなことを意識して演じるのは楽しいですね。原作ファンのお客さんも気づいていなかったことを演劇で表現できたらいいなと思っています。ドラマや映画ならそんなことはしなくていいと思うんですけど、演劇はずっと舞台に出ていますし。誰かが何かを話していたら、その裏で絶対に何か動きがある。そこが演劇の楽しいところです。舞台に出ている限り、せりふがなくても見られ続けているわけですから。

◆多方面で活躍する中、精神的に大変なことはありますか?

僕、役を引きずることもないんです。例えばですけど、周りの仲間がたくさん死んでしまう芝居で舞台上でものすごく落ちた後でも、舞台袖に戻って「はい、終わりました」ってなったら、すぐにケロッとして弁当を食べられるんです(笑)。心が疲れたっていう疲労感はありますけど、裏でもその空気のままというのはないです。逆に、役を引っぱる人はすごいなと思います。心も役のままでずっといる人、その役を演じる時だけしかそれをしない人、演技論でもいろいろあるじゃないですか。昔は役を引きずる方がいいとされていたと思うんですけど、最近は人それぞれですよね。実は僕、自分の素と役、プライベートと仕事がこんなに分離していていいのかなと思った時期もあったんですけど、最近は“まぁこれでいいのかな”って。引っぱりすぎたら、大変ですよね。

◆原作漫画がある作品の場合、まずは読み込むことから始めるんですか?

お話を頂いた時点でまず原作を読みます。作品を知るきっかけにもなるので、できるだけ全巻読みます。出演が決まってからは時間があれば何度か読んだり、漫画原作の2.5次元作品なら稽古場に絶対原作が置いてあるので、空き時間に読んで膨らませていきます。

◆アニメ化されている作品の場合、演じるキャラクターの声やしゃべり方は意識しますか?

アニメの声に近づけた方がいいというお客さんもいると思うんですけど、アニメは漫画の原作を映像化したものなので参考にはしますが、全部マネするというのはちょっとやりづらい部分はありますよね。声優さんのマネをするというより、僕らも原作を元にちゃんとイチから作っていきたいなと思います。それも現場によって違いはありますが。できるだけマネしてっていう現場もあるし、全然マネしなくていいっていう現場もあって。そこは現場に合わせます。

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