松井玲奈「続けることは大変だなって。でも、それでもやりたいから続けているんだと思います」 映画単独初主演作品「幕が下りたら会いましょう」

特集・インタビュー
2021年11月23日

松井玲奈「幕が下りたら会いましょう」インタビュー

◆そんな麻奈美の魅力的な部分を挙げると?

彼女が自分と向き合うことを始めて、周りの人からも影響を受けながら表情や受け答え、考え方などが徐々に変わっていくところは、一番人間らしくて魅力的だなと思いました。

◆麻奈美と母親の関係も印象的です。

監督から、親子の2人は似ていると言われていて、確かにそうだなと思う部分もありました。母も麻奈美に対してぶっきらぼうで、親子関係としては少しぎくしゃくしているように見えながらも、やっぱり芯の部分では繋がっていて。お互い言葉はなくても心が通じる部分だったり、本当はうれしいのにうれしい気持ちをうまく表に出せなかったり。当の本人たちは大変なんでしょうけど、私は演じながらそういう不器用なところが微笑ましくて好きだなと思いました。

「幕が下りたら会いましょう」©︎avex entertainment Inc
©︎avex entertainment Inc

◆筧美和子さんが演じた、妹の尚については?

実際に尚が画面に映っていなくても、尚はずっと物語の中に存在していて。麻奈美を演じる上でそこは常に意識していたので、尚という存在がすごく大きなものに感じました。実際、尚を演じた筧さんにお会いできたのは撮影の中盤ぐらいだったので、“やっと会えたな”という感覚がありましたね。撮影の序盤に尚が亡くなった後のシーンを撮っていたこともあってか、本当にいなくなってしまった人に会えたかのような感じで、とてもうれしかったです(笑)。

◆筧さんの印象はいかがでしたか?

とても柔らかい雰囲気の方で、かわいいな〜と思って見ていました(笑)。そんなにたくさんお話する時間はなかったのですが、劇中では短いながらも、尚に触れる瞬間が何度もあって。そうした瞬間は、とても特別な時間だったなと思います。

「幕が下りたら会いましょう」©︎avex entertainment Inc
©︎avex entertainment Inc

◆映画には「始めることよりも続けることのほうが大変」というせりふが出てきます。麻奈美を演じながら、このせりふをどのように捉えていましたか?

彼女自身が体現していることのように感じていました。麻奈美が、売れなくてもずっと演劇の世界に身を置いているのは、彼女の“逃げ”もあったのかもしれないけど、芝居と真剣に向き合っていたからこそだと思うんです。確かに続けることは大変ですが、それだけの情熱や深い思い、未練がないと、あそこまで続けられないなって。

◆ご自身も、このせりふに共感できる部分はありますか?

女優をやっている今が実際にそうだなと思います。もちろん始めるのも大変で、分からないことだらけで学ぶことばかりでしたし、今もまだ学んでいる最中で、力不足だなと感じることもたくさんありますが…。それでもやりたいと思うからこそ、大変でも続けているんだと思います。

「幕が下りたら会いましょう」©︎avex entertainment Inc
©︎avex entertainment Inc

◆あらためて、撮影を振り返っていかがですか。

意識していたわけではないのですが、撮影以外の部分でも常に感情を抑えて、役と向き合っていたなという印象が強く残っています。撮影自体は、監督がとても分かりやすく演出をつけてくださり、欲しいものを明確に伝えてくださるので、とても芝居しやすかったですね。

◆撮影の合間もわりと静かに?

もともとそんなに現場で楽しく話をするタイプではないんですが、特に麻奈美はあまり感情を表に出さない役だったので、撮影の合間も特に何をするわけでもなく、静かに現場にいて、“やるべきことをやる”、自然とそうなっている感じでしたね。

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