花岡すみれインタビュー「遅れてきた青春を感じています」『ZIP!』朝ドラマ『クレッシェンドで進め』

特集・インタビュー
2022年11月23日

『クレッシェンドで進め』花岡すみれ

大学受験を控えた高校3年生が「合唱コンクール」を通して、徐々に1つのハーモニーを作りあげる青春ドラマ『クレッシェンドで進め』(日本テレビ系 毎週(月)~(金)『ZIP!』内 午前7時50分ごろ)。合唱コンクール優勝を目指す3年C組で国公立の医学部を目指す真面目な女子生徒・竹内役を演じている花岡すみれさんに、作品の見どころや合唱の魅力、自身の青春時代などについて聞きました。

◆ドラマ出演が決まったときの気持ちは?

テーマが「合唱」というのと地元の長野県松本市が舞台ということを事前に知っていたので、これは絶対にやりたいと思いました。興奮よりもホッとした気持ちがすごく強かったです。

◆『ZIP!』朝ドラマの印象は?

短い時間のドラマなのに、これまでの作品もTwitterなので話題になっていたりして。朝の5分間って結構バタバタしている時間だと思うんですけど、その時間にちょっと物語があるだけで彩りが生まれるんだなと思いました。5分という短い時間の中に可能性がいっぱい詰まっていると感じましたし、5分間のドラマに初めて参加するにあたってどのように撮影していくのかというところが気になっていました。

◆作品の印象や台本を読んだ感想を教えてください。

最初に台本を読んだときは結構ハッピーな感じというか、高校生の日常に起こるいろいろな出来事が描かれていて、すごくはしゃげそうな作品だなと思いました。でも頂いた竹内という役は最初は合唱に反対するところから始まって、途中でみんなが盛り上がっているところに「いや、ちょっと待ってよ!」みたいなことを言ったりもするキャラクターで。盛り上がるシーンのときにどれぐらいニコニコ笑顔でなじめているんだろうというところも、台本を読んだだけだと想像もつかなかったので。他の子たちがどういうテンションなのかを想像しながら読んでいました。

『クレッシェンドで進め』
『クレッシェンドで進め』

◆実際に演じてみてどうですか?

“今、笑顔で言っていいんだろうか?”など難しいことは考えずに、“今は絶対にどんな真面目なキャラクターであっても、みんなでこんなにノリノリで歌って楽しくないわけないな”とクラスの雰囲気にいい意味で流されながら撮影をしています。私も中学校時代に合唱の経験があるので、あらためて合唱ってすごいなと思いました。男の子は高校生だと恥ずかしい時期だったりもするのかなと思うんですけど、撮影の休憩時間にみんなで歌の練習したりとか、そういう様子も含めて「合唱」というテーマがなかったらここまでみんな仲良くなれていないかもしれないなって。控え室での様子と学校でのシーンの仲良くなっていくスピードが一緒なので、そこも含めてすごく仲が深まっていくのを実感しています。

◆竹内という役どころに、自分が似ていると感じるところや共感するところは?

私は早々に勉強諦めてしまったというか(笑)、勉強にここまで力を入れたことがなかったのでそこは決定的に違う部分です。あと中学生のときはノリノリで学校生活を楽しんでいたほうなので、感情を少し抑える部分は難しかったです。ただ、自分が何か正しいと思ったことなどを手を挙げて発言することにはそこまで抵抗はなかったので。自分で納得できていることはちゃんと発言して、みんなに「どう思う?」みたいなことを聞く部分は似ているのかなと思います。

◆松本市での撮影はどうですか?

私自身上京してから頻繁に帰省しているわけではなかったので、離れたからこそあらためてその良さが分かるというか。ふと目線を上げたときにビルじゃなくて山が見えるみたいな、ちょっとしたことに感動しながら撮影ができました。他のクラスメートたちも「松本城に登ってきた!」とか、私が松本出身ということを知って「おすすめの場所ある?」みたいなことを聞いてくれたりしたのもうれしかったです。それと、地元の知り合いが撮影をのぞいてくれたみたいで、地元の人に喜んでもらえるのはやっぱりすごくうれしくて。地元が舞台の作品に出るのは夢だったので、その夢がかなってじわじわとうれしさを感じました。

『クレッシェンドで進め』
『クレッシェンドで進め』

◆今回合唱に挑戦してみて、新たに発見した合唱の難しさや楽しさは?

私はアルトパートなのですが“アルトってこんなに難しかったっけ…?”とびっくりしました。すぐソプラノにつられちゃうし、自分の音程がどこか分からなくなるし、“合唱ってこんなに難しかったんだな~”というのを思い出しました。ただやっぱり1人で歌うわけではないので、同じアルトパートの人で確認し合いながら歌うとか「ちょっと合わせてみよう」と言って人数をだんだん増やしていって練習したりしています。ミスをしても同じアルトパートの人がカバーしてくれるという安心感もあるので、声もしっかり出せるようになりました。全員で歌うからこその難しさももちろんあるんですけど、それを超える安心感があります。

◆劇中ではアルトパートとテノールパートで男子と女子が1人ずつ入れ替わっていますね。

アルトパートの男の子は歌がとても上手なので、その子に頼りながら教えてもらっています。でも、合唱するときは男の子なのでやっぱり高い音がちょっと出にくいときもあって。そういうときに“私たちが歌うよ”みたいな感じで、お互いにカバーし合いながら歌えるところがグッときます。みんなで歌っている充実感もあるし、最初に合わせたときに比べて上手くなってきているのが実感できるので。だんだん仲良くなっていくのと比例して、歌もうまくなっていると思います。

◆合唱という部分で学生時代から成長したと思うところは?

学生時代は自分のパートを極めるというのが多かったんですけど、今合唱していてテノールパートやバスパートをよく聴いてみると、“そんなふうに歌っているんだ”というのをちゃんと理解できているなと思います。今までは、アルトだったらアルトで練習してみんなで合わせるだけだったのが、撮影で声録りをするときにテノールパートだけ歌うときがあったりすると“そこでハモってたんだ!”みたいな気づきがあって。特に男の子の歌声をよく聴けているところが成長した部分だと思います。

『クレッシェンドで進め』
『クレッシェンドで進め』

◆今回の自由曲「hurray」はヤバイTシャツ屋さんの制作ですが、初めて聴いたときの感想はどうでしたか?

ヤバイTシャツ屋さんは私もずっと好きで、ライブにも行っていました。デモ音源を聴くまで自由曲をどなたが作ってくださったのか知らずにいたので“え!?”ってなって(笑)。早く聴きたいけどちょっと聴くのをもったいぶろうかなと思うぐらい、すごくドキドキしながら聴きました。リズムがアップテンポで気持ちいいというのもあるんですけど、歌詞を読むと、何て優しさに包まれているんだろうって。シンプルではあるんですけど、これはヤバTさんにしか書けない歌だなと思いました。しかも、それを歌えるということに後から思考が追いついて感動しました。もともと、こやま(たくや)さんと(しばた)ありぼぼさんが歌われていて高い音とかもあったりするので、ヤバTさんって実は合唱曲にすごく向いていたんだという発見もあったりして。そこは、いちファンとしてもすごくうれしかったです。

◆同世代が集まる撮影での印象的なエピソードがあれば教えてください。

クラスのみんなとはどんどん仲良くなっていて、スタッフさんに「本当の学校みたいになってるね」と声をかけていただいたりします。控え室などで制服を着てみんなと写真を撮り合ったり、TikTokの動画を撮ったりもしていて。自分の中では経験したことがなかったので遅れてきた青春というか、“これが高校生か!”と思いました(笑)。お弁当をみんなと一緒に食べて具材を交換したりしながら、“自分が高校生活を満喫していたらこんな感じだったのかな”と考えたりもしました。

◆先生役で藤井隆さんも出演されていますが、藤井さんの印象はどうですか?

シーンを撮り終えるごとに1つのショーを見ている感覚になるし、拍手をしたくなります。ご自身が映っていない部分まで細かくコミカルにお芝居されるので、見ている私たちも笑っちゃうし、それがちゃんとシーンに生きてくるんです。私は、撮影現場を100%楽しめているかと言われたらまだちょっと緊張もあったりとか、せりふのこととかを考えちゃったりするんですけど。藤井さんは先生役を本当に楽しまれていると思うので、私もそんなふうに楽しめたらいいなと思います。

◆合唱コンクール委員の樫役の細田佳央太さん、藤田役の出口夏希さんの印象は?

樫君は、私が原作の漫画を読んだ段階から細田さんっぽいなと思っていました。優しいけどちょっと不器用で、でも前向きで…みたいなところがそのままで。樫君の役としてもそうですけど、それ以外の細田さんとして見たときも樫君の印象がそのまま引き継がれているような気がします。藤田さんは結構ズバズバと「もっとこうしたい、ああしたい」というのをみんなに提案してくれる役なんですけど、力強さがありながらも言葉に説得力があるのでそれが絶対にうざったくならないんです。出口さん本人は、すごく守ってあげたくなる人というか…年上だし先輩なんですけど(笑)。すごくしっかりしている部分とちょっと天然な部分が共存していて、そこが愛される理由なんだろうなというのを感じました。そんな出口さんの人間性が藤田という役にも生かされてる印象があります。

◆今後は竹内がメインの回(11月24日(木)放送)もあるそうですが、注目ポイントがあれば教えてください。

今までは、竹内がどうしてそこまで勉強がしたいのかという部分がちゃんと説明されていなかったと思うんですけど。なぜ医者になりたいのか、現役で合格しなければいけないのか、国公立じゃなきゃいけないのかという部分が描かれます。それを踏まえてドラマを振り返ると、それまでの竹内の言動にも納得していただけるんじゃないかなと思います。私自身も竹内ってちょっと怖い印象だったり、お堅いイメージだったんですけど。台本を読み進めてそのシーンがあったことで、怖さや堅さを表現するところにはこだわらなくていいんだと気づけたシーンでもありました。

『クレッシェンドで進め』
『クレッシェンドで進め』

◆本作は「合唱」を通して青春を描いていますが、花岡さん自身が学生時代に青春を感じたエピソードはありますか?

自分の中で青春時代としているのは中学生のときなのですが、合唱コンクールや文化祭のようなイベントよりも休み時間の20分の方がすごく印象に残っていますね。本当にくだらないことを話したり、教室の真ん中でじゃんけんや馬跳びをしたり、そういうレベルのことをしていたと思うんですけど(笑)。今は友達と遊ぶにしても「○○に行こう」とか「ごはんを食べよう」みたいな感じで、何かしら目的を持って会うことが多いので。ただただ“遊ぶ”ということをやっていた当時の思い出は貴重だし、大事にしたいなと思っています。

◆プライベートではギターが趣味ということですが、普段よく弾いている曲は?

家で弾くときは歌ったりもしていて、特に斉藤和義さんの曲は結構ずっと弾いています。自分のギタースキルはそこまで高くはないんですけど、頑張って歌うとか頑張って弾くという感じではなく、自分の中で楽しみながら弾いて歌えるのが斉藤和義さんの曲で。斉藤さんのライブにも行ったりするぐらい大好きで、家で弾き語りをすると家族も喜んでくれます。

◆最後に、今後の目標や挑戦してみたい役などがあれば教えてください。

今回もそうですが、今までは女子高生ということで制服を着て役に入ることが多かったんです。でも今年の3月に高校を卒業して私も19歳になったので、会社員など自分が経験したことのない役柄の作品に出てみたいです。ちょっと昔にさかのぼって、時代劇などにもすごく興味があります。自分自身が通らない人生を体験できるのが俳優のお仕事の魅力の1つだと思うので、いろいろな役を演じることが目標です!

PROFILE

花岡すみれ

花岡すみれ
●はなおか・すみれ…2003年11月9日生まれ。長野県出身。NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』でレストランオーナー大城房子の妹・大城智子役を演じ話題に。そのほか、2021年には映画「ザ・ファブル」「マイ・ダディ」、舞台「水深ゼロメートルから」などに出演。

番組情報

ドラマ『クレッシェンドで進め』
日本テレビ系 毎週(月)~(金)『ZIP!』内 午前7時50分ごろ~

©日本テレビ

●text/板楠知沙

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