オカダ・カズチカ インタビュー「プロレスを盛り上げるためのヒントは映画からもらっています」ムービープラス「この映画が観たい」

特集・インタビュー
2017年11月29日

CS映画専門チャンネル「ムービープラス」で放送中の人気オリジナル番組『この映画が観たい』12月放送回は、新日本プロレスに所属するプロレスラーのオカダ・カズチカさんが登場。番組内では、自身のオールタイム・ベスト映画を紹介しながら、実は怖がりという意外な素顔や、華やかでかっこいいプロレスラー“オカダ・カズチカ”誕生のきっかけなどを語ってくれたオカダさん。プロレス界をもっと盛り上げたい!というオカダさんに熱い想いを伺いました。

◆番組で、映画からアイデアを得ているというお話をされていましたね。

オカダ・カズチカ インタビュー海外遠征に行ってから、自分が何か変わらなければいけないと考えるようになって、映画からヒントを得るっていいなと思って、色々と取り入れるようになりました。
映画もそうですし、普通にテレビを見ていたり、ゲームをしていたり、ほかのスポーツを見たりしていても、プロレスに生かせることはないかなって考えるんです。スポーツも実際に現場、会場に行ってプロレスに生きるものはないかって探したりもします。
全部がプロレスにつながっていますね。

◆プロレスを忘れて、という時間は趣味のバス釣りくらいですか?

そうですね(笑)。バス釣りくらいですね。ほかはもう何かしらプロレスを盛り上げるために何かないかなっていうのを探しています。映画でも、劇場に行ったら写真を撮れるところがあったりしますよね。こういうものがプロレスにもあったらいいよなあとか。

◆そういう意識はプロレスラーになった当時からありましたか?

ここ最近です。僕たちは試合するだけですけど、お客さんはワクワクしながら会場にきて、試合が始まるまで何をしてるのかなって思ったんです。それで自分が映画館に行ったときは何してるかなと思って。
ほかにどんな映画やってるのかなって見たり、食べ物を買ったり、写真を撮るところがあったら撮ったり…まあ僕は恥ずかしくて撮れないですけど。オカダが撮ってた!ってつぶやかれたら、ちょっと…(笑)。
ワクワクしていろんな予告を見て、そろそろ始まる始まる…始まった!っていうのをプロレスに例えるとどうなるのかなって思ったり、そういうヒントを得ようとはしていますね。

◆やはりご自身がチャンピオンになったことでプロレス界への意識が強くなった?

チャンピオンになって、自分の記録にこだわらなくなりました。自分が勝ってプロレスを盛り上げるのは当然として、それ以外にどうやったらみんなが盛り上がっていくんだろう?ということを考えるようになりましたね。
根本にはプロレスをもっと知ってもらいたいというのがあるんです。面白いことをやっているという自負もありますし。
もちろん苦手な人もいると思うんです。全員が野球やサッカーを好きなわけじゃないですし、音楽にしても好き嫌いがありますよね。
プロレスを一回見てだめだっていう人もいると思うですけど、「私、痛いのはちょっと…」っていう人ほど、生で見たら熱くなっている気がするんです(笑)。
どんなかたちであれ、プロレスにちょっとでも接してもらいたくて、そのためにはどうしたらいいんだということばっかり考えていますね。

◆昔は国民的なスポーツエンターテインメントだったものを復活させたいという想いもありますか?

そうですね。プロレスの良さってどこにでも行けることだと思うんですよね。僕たちも日本全国回りますし。
プロレスは1年に一回しか生で見られない人もいますし、ゴールデンタイムでオンエアしていないということもあります。だから色んな場所に行って、1年に一回の試合を楽しみにしてもらいたいんですよね。
地方にももっと行きたいですし、極論をいうと、東京ドームを超満員にできるまでに戻ってやっと“プロレスが盛り上がってきた”って言えるんじゃないかなと思うんです。
一番盛り上がっていた時期にまだ追いついていないと思うので、そこにいかなきゃいけないって。それに向かってやっていくのが今は楽しいんです。
地方も最初は小さかった会場がちょっとずつ大きくなって、大阪では、最初はお客さんが全然入らなかった府立体育会館が超満員になって、もっと大きな大阪城ホールが超満員になってという段階を見てきたし、もっともっと盛り上げていきたいということしかないです。攻めていきたいですね。

オカダ・カズチカ インタビュー

◆プロレス以外でも活躍されていて、声優などにも挑戦されていますが、いかがでしたか?

本人役でNGが出た時が一番恥ずかしかったですね(笑)。
「僕なんだけど…」って。自分役をやるのもそれはそれで大変ですね。リング上のオカダのテンションってどんなテンションなんだろうって自分でもよく分からなくなったりして。「もっとこうしてください」とか言われると、「あれ、僕がオリジナルなはずなのに…」って。そろそろオカダじゃない役もお待ちしています(笑)。

◆収録現場はいかがでしたか?

緊張はしますけど、ある意味オカダでいいので(笑)、ちょっと落ち着く部分はありますね。オカダ役じゃなかったらドキドキすると思います。

◆ハリウッドではレスラーから俳優にというケースがありますが、この流れはどう見ていますか?

いやあ…それはアメリカだから良かったんですかね。やりたい人はやって、どんどん人気になってもらって、プロレスに返してもらえればいいと思います。
そんなこと言って僕も2、3年したら「ハリウッド目指します!」とか言ってるかも(笑)。
こうやって僕が映画を見てヒントを得ているように、演じることでヒントになるのかもということも思いますね。
それもプロレスに還元できるんじゃないかなって。

◆CMでは、ハリウッドスターのミラ・ジョボヴィッチと共演されました。

お会いして、「人間なんだな」って思いました(笑)。
当たり前のことなんですけど、僕と違うのは、すごくゴツいボディガードがいるくらいで(笑)。
安心したというか、何も違わないんだなって。
フランクに話もしてくれますし、ある意味スターってこういう人なんだなって思いました。
ボディガードがいるのもスター感があるじゃないですか。まあ僕にはいらないですけど(笑)。
スターの雰囲気というのは学べましたね。あの撮影はいい経験になりました。
ほんとにかっこよかったです。

◆番組で、プロレスラーとしてのスタートは超エリートというわけでもなかったというお話をされていましたが、すごく意外でした。

もう、迷惑かけてばっかりでした。

◆そこから今のオカダ・カズチカへの転機みたいなものはあるんですか?

だめなところを自分で補おうとしてきたというか、腕立て伏せ30回10セットがずっとできなかったんですけど、練習が終わってみんなが休んでいるときに自分だけ腕立てをやったりしていました。そういうのが生活の習慣になって、できなかったからこそ周りがやっていないときも自分はやっていようっていうのが多かったので、その分プロレスと接している時間がほかの人より長かったんです。それが今の自分につながっているのかなと思います。
練習はつらかったんですが、みんなと同じようにこなせていたら今の自分はなかったかもしれないですね。
だめだったからこそ、「やらなきゃ」って思えたんだと思います。

◆プロレスをどう盛り上げるかという話はCHAOS(オカダが所属する新日本プロレスのユニット)の方たちとはされるんですか?

(かぶせぎみに)全然しないです(笑)。僕が一人で考えて、勝手にいろいろやっちゃっている感じですね。

◆ご自身の中で課題をクリアしていく感じですか?

それが多いですね。自分に課題や目標を設けることが多いです。それに向かってやっていく。今でいうと、東京ドームを超満員にして試合をしたいというのがあります。それに向けて何をしなきゃいけないんだって考えた時に、リング上で素晴らしい戦いを見せるのは当たり前で、まずプロレスを知ってもらわなきゃいけないとか、そういうことにつながっていって、それをクリアしていきたいというのはありますね。

オカダ・カズチカ インタビュー

◆プロレスが盛り上がっている中で、オカダさんはすごく冷静にシビアに見ているんですね。

浮かれるほど盛り上がっていないと思うんです。
僕たちはリング上で命を懸けて戦っているので、たくさんの人に見てもらいたいんですよね。10人に見てもらうより、5万人の人に見てもらいたい。それは最近思いますね。

◆そういう点はディレクター気質なのかもしれないですよね。

プロレスラーに向いてないのかな。プロレスを盛り上げるために、違うことをやったほうがもっと充実するんじゃないかって思えてきました(笑)。
若手へのアドバイスも、「お前が強いのは分かったから、お客さんからの見られ方を気にしなさい」とか、「入場でもっとカメラに映りやすいように動きなさい」とかですし。やっぱり、裏方に向いてるのかな…(笑)。
でも、結局はお客さんの前に立ってわーわー言われたいです!(笑)

◆映画でいうと監督・主演ですね。

ああ!そういう感じですね。

◆今、オカダさんは“日本で一番忙しいレスラー”だと思うんですが、ご自身は現状をどう感じていますか?

いつまでたっても足りない感じはします。自分の中では満足しちゃいけないというのがありますし、したくないですね。
いつ天狗になれるのかな(笑)。

◆もうなってもいいと思いますけど(笑)。

やっぱり、もっともっと!って思っちゃうんですよね。

 

■PROFILE

オカダ・カズチカ
●おかだ・かずちか…1987年11月8日生まれ。愛知県出身。CHAOS所属。
2004年、16歳の時にメキシコ・アレナ・コリセオにおけるネグロ・ナバーロ戦でデビュー。
2012年、第57代IWGP王者に輝く。同年、『G1 CLIMAX』に初出場し、最年少優勝記録を更新した。
第65代、現IWGPヘビー級王者。

 

■番組情報

「この映画が観たい#51~オカダ・カズチカのオールタイム・ベスト~」
自身の人生に影響を与えた映画について語る、ムービープラスの人気番組。今回、オカダ・カズチカが挙げたオールタイム・ベストは、「千と千尋の神隠し」「呪怨」「コーチ・カーター」「アイアンマン」「007 スペクター」の5作品。

CS映画専門チャンネル・ムービープラス
12月4日(月)23:00~23:30ほか

番組ページ(http://www.movieplus.jp/guide/mybest/)
ムービープラス公式サイト(http://www.movieplus.jp/)