吉田羊インタビュー「“奇跡のチーム”と呼んでいます」『連続ドラマW コールドケース2~真実の扉~』

特集・インタビュー
2018年10月10日

世界的大ヒット海外ドラマ「コールドケース」の日本版『連続ドラマW コールドケース2 ~真実の扉~』が、WOWOWプライムにて10月13日(土)より放送開始。シーズン1に続き、主演を務める吉田羊さんに今作の見どころについて伺いました。


ひいき目抜きに世界に誇れるドラマが出来た

◆2016年に放送されたシーズン1が高評価を受けましたが、周囲の反響や吉田さんの手応えはいかがでしたか?

吉田羊インタビュー本を読んだ時から面白くて「映像になったらどれだけ面白くなるんだろう」と、私自身すごく期待値が上がった状態で見させていただきましたが、それをはるかに上回る出来上がりでした。本当に贔屓目抜きで世界に誇れるドラマが出来たなと。石川百合という役も、私が無理なく入っていけたので、自分の発信側としての手応えと受信側の手応えが一致するドラマという意味でも、素敵なドラマだと思いました。

◆新シリーズを迎えることになって感じるプレッシャーはありましたか?

自分が何とかしなければという思いで立っている人であれば、そういうプレッシャーもあるんでしょうけれど、私はなかったです。幸いなことに、この作品は百合が主役ではありますが、あくまで捜査一課5人のチームが1つの軸にあり、チームワークで成立しているドラマということで、気負わずにいられているんだと思います。未だに私は自分が主演でいることに慣れないと言いますか、輪の中心にいることが性に合わないんですよね。だから何が主演としての立ち方の正解なのかも分からないんですけど、とにかく自分が居心地のいい空間を作ることを心がけて、共演者の方やゲストで参加してくださる方も居心地良くいてくださったらいいなと祈るような気持ちで現場にいて。実際、光石(研)さんや滝藤(賢一)さんが別のお仕事からこの現場に帰ってくると「ほっとする」って言ってくださるので、そういう意味ではいい現場にできているのかなと思っています。

◆吉田さんは自身の演じる神奈川県警捜査一課の女性刑事・石川百合をどんな女性と捉えているんでしょうか?

彼女は笑うのが下手なんです。人生を通して大爆笑したことがない。ただそれこそが彼女の人生を表している気がして、お芝居をする中でも例えば捜査一課の5人で軽口をたたくシーンだと私は大きくは笑わず、どこか斜に構えているというか、少し抑えた笑顔に留めています。そんな百合が、シーズン1の最終回に登場した赤松(ユースケ・サンタマリア)との一連の事件を通して、小さい頃に抱えていたトラウマという自分の弱さと向き合うことになりました。しかしそれをアウトプットすることで彼女は強くもなり、少し楽になったとも思います。そして捜査一課のメンバー4人が、その様子を見守り待っていてくれた時に、私も「あ、完全になくなることはないけれど、百合は孤独ではなくなったのかもしれないな」と感じられました。百合がより対象者の近くに立つことを恐れずにできているところは、シーズン2でさらに進化した部分ですね。

◆シーズン1から2年経って再会した、捜査一課の面々とのチームワークはいかがでしたか?

吉田羊インタビュー撮影に入ったら昨日まで撮影していたかのように、本当にあっという間に現場の空気が戻りました。こんなに頼もしい共演者はいないというぐらい何をやっても受け止めてくれて、さらに面白く返してくださる共演者さんたちです。今回、高木を演じている永山(絢斗)君と一緒に過ごす時間が多かったので、台詞の言い回しなど相談の時間は多かったように思います。それは永山君も少し私、吉田羊に心を開いてくださったところもあったと思いますし(笑)、私もそのことが感じられて「あ、踏み込んでいいのかな」と俳優・永山君に相談したところもあります。そして監督さんが、私たちの「ここ気持ち悪いな」、「この台詞はどうだろうな」という発言を一蹴せずに、必ず受け止めて一緒に考えてくださったのも嬉しかったです。現場が止まることに対して文句を言うスタッフさんも1人もいなかったですし、私は妥協しないプロ集団ということで“奇跡のチーム”と呼んでいます。

◆思い出に残っている撮影エピソードを聞かせてください。

筋肉バカ(笑)な滝藤さんをはじめ三浦友和さんから教えてもたった筋トレやストレッチネタを、みんなで輪になってやったりしましたね。これに影響を受けたというわけではないのですが、時期を同じくして私は体幹を鍛えるためにピラティスを始めました! あと横浜中華街にある料理屋さんで、捜査一課のメンバーで並んで中華を食べたり。三浦さんだけ行けなかったので、みんなで選んだおみやげを買って帰りました(笑)。大人の遠足ができて、すごく楽しかったです。

◆もし続編があるとしたら、期待することはありますか?

シーズン2では、シーズン1にはなかったそれぞれのパーソナルエピソードが描かれていますが、残念ながら今回滝藤さん演じる立川のエピソードが出てきていません(笑)。もしシーズン3があればそこを大々的にフィーチャーしつつ、5人のチームワークが進化して、よりドラマチックに事件を解決できたらと。そして百合自身も変わっていくといいなと思います。彼女はなかなか人を自分の心に招き入れることはできない人だけれど、自分の心を人に寄せることはできる人です。そんな彼女がシーズン2で捜査一課の4人との絆をさらに深めた先で、今度自分の心に招き入れるということができるようになったときに、百合にどういう変化が起きるのか、っていうのは私も楽しみなところです。

◆最後に、吉田さんが思う『コールドケース』の魅力を教えてください。

事件解決に留まらず、人間を描いているというところかな。どんな死に方をしてなぜ殺されたか、そういう死に様を描くということは、イコール人の生き様を描くということだと思うので、私たちは誰のどの人生もないがしろにされてはいけないという思いで捜査に当たっています。その部分が見えるのがこのドラマの面白さであり、妥協しないで作っているという作り手の思いが視聴者に届いているのかなとも思いますね。

 

■PROFILE

●よしだ・よう…2月3日生まれ。福岡県出身。O型。映画「コーヒーが冷めないうちに」(公開中)に出演。

 

■ドラマ情報

『コールドケース2~真実の扉~』連続ドラマW
コールドケース2~真実の扉~
WOWOWプライム
10月13日(土)スタート
毎週(土)後10・00~11・00

(STAFF&CAST)
監督:波多野貴文、内片輝、守下敏行
脚本:吉田康弘、酒井雅秋、野木萌葱、瀧本智行、蓬莱竜太、瀬々敬久
出演:吉田羊、永山絢斗、滝藤賢一、光石研、三浦友和ほか

©WOWOW/Warner Bros. Intl TV Production
 

●photo/関根和弘 text/山下紗貴 hair&make/石田絵里子(Air Notes)styling/青木千加子