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脚本家・野木亜紀子インタビュー「誤報を扱ったドラマが書きたかった」土曜ドラマ『フェイクニュース』

脚本家・野木亜紀子インタビュー「誤報を扱ったドラマが書きたかった」土曜ドラマ『フェイクニュース』

『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』など数々の人気ドラマの脚本を手掛ける野木亜紀子さん。そんな野木さんが土曜ドラマ『フェイクニュース』(NHK総合 10月20日、27日(土)後9・00)でNHKドラマ初執筆。メディアの在り方が問われるデリケートな題材を選んだ理由を語ってくれました。


以前から“報道”を書きたいと思っていました

『フェイクニュース』◆「フェイクニュース」を題材にした理由を教えてください。

 インターネットや新聞、テレビの誤報を扱ったドラマを作りたいなと思っていたことがあって、『アンナチュラル』などをやる前に民放で話をしていたりしたんですが、なかなか難しい題材みたいで。そのころ、ちょうど北野(拓)プロデューサーから「NHKでオリジナルのドラマをやりませんか?」という連絡がきたんです。最初は『逃げ恥』の後にお会いしたので、恋愛ものとか結婚を題材としたドラマがやれたらというお話でした。ですが、北野さんが報道出身という話題になって、「報道出身なら恋愛とか言ってる場合じゃないんじゃない?」と思い、「実は報道系のドラマをやりたかったんだけど」と私から提案をしました。『アンナチュラル』や、今放送中の『獣になれない私たち』が決まってたので、その間に書くとなると連続ドラマは厳しいが、単発ドラマなら書けますとお話して、それなら何をテーマにやろうかと話を詰めていきました。
 どうして「フェイクニュース」かと言われると難しいのですが、北野さんも私もお互いに「フェイクニュース」に問題意識を持っていたんですね。それで、今やるにはいい題材なんじゃないかとなりました。ただ、その時はまだ「フェイクニュース」という言葉自体があまり世に広まっていなかったので、最初は「フェイクニュース入門」というような内容を考えていました。その後、時代の変化に合わせて内容を大きく変えました。

◆なぜ誤報に興味を持ったのでしょうか?

 “日本報道検証機構”という団体があることを知ったのがきっかけです。ドラマにしたら面白いなとチェックしていたら、Readyfor(クラウドファンディング)で寄付金を集め始めて。ある程度の寄付金を払うと理事会にオブザーバーとして参加できるとあり、ネタになるかと思って寄付をしました。ですが、理事会が開かれている期間に『空飛ぶ広報室』を書いていて忙しく、結局一度も参加できずに終わったということもあって。その時から継続して興味を持っていました。

◆“日本報道検証機構”の存在を知る前から、報道には興味があったのでしょうか?

 もともとドキュメンタリーをやっていたことがあって、いわゆるドキュメンタリーの線引きだとか、どこからがやらせで、どこまでが演出なのかが気になっていました。ニュースというものも切り取られているもので、どうしても作り手の意図が介在しますよね。例えばドキュメンタリーの中でどこかからどこかに移動する際に、編集上、車のカットを入れました。その車が違うところで撮られたものだからと言って、それをやらせと言うべきかどうか。以前書いた『空飛ぶ広報室』も、新垣(結衣)さんの役がメディアに関わる人で、オリジナルで報道の話も入れ込んでいたんです。そういう視点は、描いていくべきものの1つとして常に自分の中にありました。


北野Pとの出会いは“渡りに船”でした(笑)

『フェイクニュース』◆北野プロデューサーとは以前から面識がありましたか?

 いえ、北野さんが私の連絡先を知り合いから聞きだして、すごく長いメールを送ってきたんです。お会いせずお断りすることもあるんですが、北野さんからのメールがあまりにも長文で、必死さが伝わってきて。「自分の企画でドラマをつくりたいんだけど、まず脚本家を連れてこないと企画が通らない」という身も蓋もないメールだったんですけど(笑)、面白そうだから会ってみようかなと思ったんです。でも北野さんが報道出身ということで、私としても渡りに船というか、いいプロデューサー捕まえたぞって。なかなか報道出身のドラマプロデューサーはいないんですよね。報道のことを分かっていない方とは、こういう題材なんて怖くて作れないと思うので、ちょっとラッキーって思いました(笑)。

◆NHKだからできたこと、できないことはありましたか?

 スポンサーがいないというのがすごく大きいなって。だからこそ、できることもあると思いますし。NHKさんは社会的意義があるものならばやってみてもいいかなという気持ちを持ってらっしゃるので、そこは本当にありがたいなって思いました。ただ、実在する会社名や地名などを使用しないという、そのあたりは細かくチェックが入って。そりゃそうなんですけどね(笑)。

◆野木さんご自身の報道、メディア、マスコミに対する問題意識を教えてください。

 私は、報道不信がささやかれる風潮はよろしくないなと思います。報道不信があるから、陰謀論が生まれる。でもそれはメディアが蒔いた種でもあって。作り手や送り出す側もちゃんと意識をして正しいものを出していかないといけない。不信感のデススパイラルが続くと、誰も幸せになれないっていうのが、何だかすごく虚しいんです。

 

■PROFILE

野木亜紀子
●のぎ・あきこ…脚本家。東京都出身。ドラマ『空飛ぶ広報室』『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』などの脚本を手掛ける。現在放送中の『獣になれない私たち』の脚本も担当している。

 

■ドラマ情報

土曜ドラマ『フェイクニュース』
NHK総合
10月20日、27日(土)
後9・00~9・49

出演:北川景子、光石研、永山絢斗、矢本悠馬、金子大地、新井浩文、杉本哲太 ほか
脚本:野木亜紀子
音楽:牛尾憲輔
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:北野拓
演出:前編・押切園健太郎、後編・佐々木善春、押切園健太郎

番組HP:https://www.nhk.or.jp/dodra/fakenews/

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