ユナク(超新星)インタビュー in ミュージカル「プリシラ」

特集・インタビュー
2016年12月07日

3人のドラァグクイーンのドタバタ珍道中を描いたオーストラリア映画(1994年公開)を原作に、世界15か国以上で上演されてきた人気ミュージカルがこの冬、日本に初上陸。マドンナやドナ・サマーなど誰もが一度は耳にしたことのあるヒットソングを散りばめたディスコ・ミュージックに乗せて、豪華絢爛な衣裳で歌い踊るエンターテイメント満載の「プリシラ」。世界を股に掛けて活躍する宮本亜門さんの演出で新たな彩りが加わる日本版で、美しく生意気なドラァグクイーンのアダムを演じる超新星ユナクさんに単独インタビュー!

ファンの皆さんがショックを受けそうな衣装がたくさんあります(笑)

ユナク(超新星)インタビュー

◆ソンジェさんと初めて2人きりとなるライブツアーお疲れさまでした! ツアーを終えてからすぐに稽古に合流したそうですね。

ツアーが始まる前に台本をもらっていたので、ツアー中もずっと持ち歩いてました。でも、最初にもらった台本から半分以上は内容が変わっていて。周囲からは聞いてましたが(笑)、演出の宮本亜門さんがどんどんいいものにアレンジしてくださるから、稽古場で毎日のようにせりふや振り付けが変わるんです。昨年「RENT」に出演して、その後に「インタビュー」という韓国ミュージカルで解離性多重人格者の役を演じて、もうこれ以上激しいものはないだろうなと思っていたのに、大きな勘違いでした(笑)。それぐらい最高に大変なミュージカルに出会ったと感じてます。覚えても覚えても変わるから苦労することも多いんですが、「確かにそのほうがいいな」という思いのほうが強くて。刺激的な毎日で稽古がすごく楽しいです!

◆「RENT」はオーディションがありましたが、「プリシラ」はどういった経緯で出演が決まったのでしょうか?

「RENT」のときも最初からロジャー役でお話をいただいたんですけど、演出のアンディ・セニョールJr.さんに僕の歌や演技を見てもらった上で最終判断をしてもらうことになっていて。合否が分かるまでは「もしかしたらダメかも…」と思ったんですが、光栄にも出演できることになりました。今回は僕に似合う役があるとオファーをいただいて、本当にうれしかったです。もともと韓国で「プリシラ」のミュージカルを観たことがあって。そのときは僕とすごく仲の良いキム・ホヨンという友人が出演していたので、“ホヨンが演じた役じゃないよなぁ”と思っていたら、まさかの同じアダム役で(笑)。アダムって一番せりふの量が多いんですよ! 歌もパフォーマンスも一番多い。もちろんストーリーを引っ張っていくのはティックとバーナデットなんですけど、“魅せる”のはアダムの役目。でも、ドラァグクイーンという今まで演じたことのない役もすごく新鮮だし、最近はシリアスな役が続いてたので、久しぶりに明るくて楽しい役なのでぜひやりたいなと思いました。

◆ド派手な衣装とメイクを施したご自身のドラァグクイーン姿をどう思いますか?

最初はちょっと違和感があったんですけど、段々楽しめるようになりました。1時間半ぐらいかけてメイクして、衣装を着替えるうちにアダムの気持ちになって、 “もうちょっと胸にパッド入れようかな”とかそういうのも結構面白くて(笑)。

ユナク(超新星)インタビュー

◆女性の姿に変身すると、気持ちも女性らしくなりますか?

なりますよね(笑)。動作や仕草が変わるというか、ちょっとしたことに気を遣ったりする。例えば、今は脚を開いて座ってるけど、アダムになると…こうなる(と言いながら脚を閉じる)。昨日も父と電話したときに、「おまえ、しゃべり方がおかしくなったね」って言われて(笑)。話してるうちに「おとーさぁん♡」って感じになっちゃって、そしたら「誰だ」って(笑)。でも、もともといろんな意味で女子力はあるほうだと思うんです。何かこう…たまに出るんですよね、女子力が。僕のことをよく知ってる人なら、僕が完全に男だっていうことを分かってくれてますけど、たまにそのギャップに自分でもびっくりするときがあります(笑)。

◆ご両親やメンバーの皆さんは、ユナクさんのアダム姿についてどんな反応でしたか?

一番びっくりしてたのはソンジェ君。共演者さんたちと写ってるフライヤーを見せたら、「誰? この中にユナクがいるの?」って(笑)。だって、両親すら最初分からなかったから。両親にもフライヤーを見せたんですけど、「今度こういう舞台に出るんだね、おまえはこれから写真撮るんだよね?」なんて言うから、「いやいや、いるよここに!」って(笑)。面白いからジヒョクにも写真を送ったんですけど、「顔の横に“ユナク”って書いてあるから分かるけど、名前がなかったら分からないよ」って(笑)。でも、メンバーみんな応援してくれてるんです。ソンジェ君も「ユナクはいろんな役ができてうらやましいな」って言ってくれてます。

ユナク(超新星)インタビュー

◆原作の映画は「アカデミー賞衣装デザイン賞」を受賞するなど、きらびやかでオリジナリティあふれる衣装も大きな魅力の1つですよね。今回の日本版ミュージカルも、衣装のバリエーションが豊富だと伺いました。

いっくん(山崎育三郎)が一番多くて22パターン。僕の演じるアダムは2番目に多くて、20パターンあります。コワいんですよ~早着替えが(笑)。とにかく衣装チェンジが多くて、48秒で着替えて、またちょっと着たら次の衣装に1分以内で着替えるとか。この前も通し稽古をしたら、着替えて着替えて着替えて…ってもう着替えるだけであっという間に終わっちゃいました。

◆フライヤーで着ている衣装以外にどんな衣装があるんですか?

多分ファンの皆さんがショックを受けるようなものがたくさんあります(笑)。肌の露出が多いし、フィット感もあって、体のラインが全部見えるんです。普段なかなか見られないユナクのファッションではあるから、びっくりすると思います。フライヤーの写真の衣装は、あれでもすごくノーマルなほう。ハードルが高い衣装が多くて(笑)、露出も多いので、アンサンブルの人や俳優さんたちにも「大丈夫なの?」って心配されたり。でも僕は全然大丈夫!(笑)

◆露出するためにどんな体作りをしていますか?

ムキムキまでいかなくても、見ていて“きれいだな~”と思ってもらえる体形になりたくて、ソロ写真集を撮ったときと同じぐらい頑張ってダイエットしてます。つらいなぁと思うのは、僕は歌う前にきちんと食べるタイプなのに今はそれができなくて、豆腐とか卵とかサラダばかり食べてること。でも、「プリシラ」のスタッフさんからは体を大きくして鍛えてほしいと言われたので、どうすればいいのか分からなくて両方やることにしました。食事もしながら筋トレしてます。

ソンジェ君と2人で頑張って、いかに4人の席を守るかを一番に考えてます

ユナク(超新星)インタビュー

◆共演者の方についても聞かせてください。まずはドラァグクイーンのティックを演じる山崎さんはどんな方ですか?

いっくんは年も近いし、紳士的で気配りもできる人。男から見ても、いいなぁ、羨ましいなぁ、見習いたいなぁと思うところがたくさんあります。それに、すごく素敵なボイスを持ってますよね。僕がお弁当を食べているときも、どこかでいくくんが歌い出すとそっちを見ちゃう(笑)。あと、自分と似てると思う部分もあるんですけど、それが何かは言えません(笑)。

◆古屋敬多さん(Lead)は、Wキャストとして同じアダムを演じますね。

最初に仲良くなったのが古屋君。すごく優しくて、見守ってあげたくなるんですよね。弟みたいな感じで、友達のようでもあってとても楽しくやってます。アイドルグループに所属してるっていう共通点もあるからいろんな話もできるし、プライベートのことも一番話してるかも。「ここのせりふが変わったよ」とか教え合ったりしながらお互いにフォローしてます。

◆先ほどから山崎さんのことは“いっくん”と呼んでいますが、古屋さんのことは何と呼んでいるんですか?

敬多君って呼んでます。あとは「アダム~!」って、僕もアダムだけど(笑)。敬多君には敬多君だけのアダムの魅力があるから、す~ごくイイんですよ!

◆トランスジェンダーのバーナデットを演じる陣内孝則さんの印象はいかがですか?

すごく素敵な方です。陣内さんって男らしいイメージなのに、それが短時間であんなに変わるんだって本当に圧倒されました。自分のスタイルでバーナデットというキャラクターを作り上げていて、演技はもちろん勉強になるし、笑いの取り方もすごく面白くて。(舞台「Honganji」で共演した)グァンス君のこともかわいがってくださるからそれもありがたいし。あと、おいしいご飯屋さんに連れて行ってくれます(笑)。そばとか、もつ鍋、焼き肉も食べに行ったんですけど、どれも本当においしくて超感動しました!

ユナク(超新星)インタビュー

◆稽古や食事の席を通じて皆さんの団結力も深まっているんですね。そんな「プリシラ」を経て、今後出演してみたい作品はありますか?

今までは創作ミュージカルが好きでやってきましたけど、ブロードウェイのミュージカルがなぜ人気なのかっていうのを自分が経験する中で実感できるようになりました。「ミス・サイゴン」「エリザベス」「アイーダ」とか「ジキル&ハイド」もいいですよね。「RENT」に出演した影響なのか分からないけど、最近は日本だけじゃなく、韓国でもミュージカルのオファーをいただくようになって。いろんな面を見せていけたらとは思いつつも、超新星を守るっていう使命もあるから、うまくバランスを取りながらやっていきたいです。

◆ユナクさんにとって「RENT」は大きなターニングポイントとなった作品ですか?

「RENT」のおかげでいろんなことが変わったと思います。こうしてまた日本で素晴らしいミュージカルに出られることになったし、仲間もいっぱいできました。「RENT」をきっかけに、抑えていた自分を開放した、という感じはありますね。もともと歌い方はロックが好きだったんですけど、超新星のときはもちろん曲やグループのカラーに寄せて歌うので、それが「RENT」でロックミュージシャンの役を演じたことで、自分の本来の歌い方はこうだったなということに久しぶりに気づいて。そういうことがあったので、今年発売したソロアルバムのときは「ロックでファンキーな感じで、僕のやりたいようにやりたい」とレコード会社のスタッフさんに相談したら受け入れてくれて。最初は大丈夫かなって心配でしたけど、今はすごく満足してます。

ユナク(超新星)インタビュー

◆ソロ活動とグループ活動を並行して2016年も多忙を極めていたと思いますが、2017年はどんな一年にしたいですか?

1月にソンジェ君と初めて2人でリリースするアルバムが一番の楽しみ。すごくいい曲が出来上がったし、MVも早くファンの皆さんにお見せしたいです。最近よくソンジェ君と音楽の話をするんですけど、僕とソンジェ君ってもともとタイプが真逆じゃないですか。だからこそ、そんな2人が一緒に何かをやること自体が面白いし、ソンジェってこういう考えを持ってたんだなって気づくことも多くて。ソンジェ君とこれまで以上に仲良くなれたこともすごくうれしいです。今は2人で頑張って、いかに(入隊中の)4人の席を守るかということを一番に考えてます。先日のライブツアーもすごく不安だったんですけど、ファンの皆さんが喜んでくれたから次はもっともっと楽しいものにしたい。来年は久しぶりに日本のドラマにも出るので、アルバム、ドラマ、舞台、またライブも…って既にスケジュールがフルで埋まってる状態(笑)。すごく楽しみなことがたくさん待っているので、2017年を迎えるのが楽しみです。

 

■PROFILE

ユナク(超新星)インタビュー●ゆなく…12月2日生まれ。O型。2007年に韓国デビュー、2009年に日本デビューした6人組ダンスボーカルグループ・超新星のリーダー。国費留学生として愛知大学を卒業し、流ちょうな日本語を武器にドラマ「恋するキムチ」、映画「無花果の森」、ミュージカル「RENT」など数々の日本作品に出演。2017年は、ユナク&ソンジェ from 超新星として初のミニアルバムを1/25(水)にリリース。3月から東京、名古屋、大阪にて上演されるミュージカル「花・虞美人」への出演も控えている。また、4月14日(金)からは、BSスカパー!オリジナル連続ドラマ『バウンサー』に平埜生成と共にW主演を務めることが決定した。


■作品情報

Photo by Leslie Kee
Photo by Leslie Kee
ミュージカル「プリシラ」公演概要

開催:2016年12月8日(木)~12月29日(木)
劇場:日生劇場(東京都千代田区有楽町1-1-1)
料金:S席13000円/A席8000円/B席4000円(全席指定・税込) ※未就学童入場不可
演出:宮本亜門

出演:山崎育三郎、陣内孝則、ユナク(超新星)/古屋敬多(Lead)<Wキャスト>ほか

「プリシラ」公式HP:http://www.tohostage.com/priscilla/

<STORY>
舞台はオーストラリア。
シドニーに住むドラァグクイーンのティック(芸名:ミッチ) (山崎育三郎)は、最近何だか不運続きで仕事も私生活もダウン気味。
そんなとき、別居中の妻・マリオン(和音美桜)の誘いで、砂漠の真ん中にある街、アリス・スプリングスで開かれるカジノでパフォーマンスをすることに。せっかくだからと、2人の仲間―夫を亡くしたばかりで沈んでいるトランスジェンダーのバーナデット(陣内孝則)と、若くて美しいが生意気なアダム(芸名:フェリシア)(ユナク/古屋敬多)を道連れに、1台のバス「プリシラ号」をチャーターし、砂漠を縦断する旅に出ることにした。 道中、ティックは2人に、目的地で妻子が待っていることを告白する。
ティックにとって、自分の存在を知りながらまだ会ったことのない息子・ベンジーと対面することは、とても大きな決断であった――。

 
●photo/中村 功