柏木由紀インタビュー「“アイドル”という肩書きにこだわってゴールを決めずに続けていきたい」

特集・インタビュー
2021年03月05日

◆最近ではYouTubeチャンネル「ゆきりんワールド」での動画にも高い注目が集まっています。配信時に意識していることはありますか?

素を出すことです。長い間アイドルを続けてきて、世間の方にはビジュアルや曲の雰囲気で“ぶりっこ”とか“アイドルぶってる”というイメージを持たれることが多かったんですが、自分ではそんなふうに思ったことが一切なくて。むしろおしゃべり好きで明るい方だと思っていたので「なんでだろう?」とずっと考えていたんですが、ふと「テレビでは一人で長時間話したことがないから、素の自分を見てもらう機会がなかったんだ!」と気づいたんです。それで「自分から発信していけば、その誤解が解けるかも」と思い、本当の自分を知ってもらうためにも最初からありのままをさらけ出すようにしました。

◆反響はどうでしたか?

想像以上でした。コメント欄を読んでいると「こんなに話す人だと思いませんでした」とか「友達になりたいです」というコメントを見かけることもあるんですが、私自身アイドルを続ける中で親近感を大事にしていきたいと思っていたので、その思いが伝わったような気がしてうれしかったです。あと、私のチャンネル視聴者の男女比は、8:2くらいで男性のほうが多いんですが、同性の方にも見ていただけているのも本当にうれしくて。YouTubeはお金をかけずにすきま時間で気軽に楽しめるコンテンツなので、今までなかなか届かなかった層の方にも自分が発信したものが届いていることに喜びを感じています。

◆アイドルとしてのキャリアは15年目に突入。昔と今を比べて、変わったこと・変わらないことは?

自分から後輩に何かを伝えたり教えたりするようになったことが、一番大きな変化かもしれません。AKB48は「選抜総選挙」などでどうしてもメンバー同士で競わなければいけない場面も多かったんですが、若いころは自分もまだまだ上にいきたいという野心が強かったので、考えや練習したことを心の内に秘めておきたいと思っていたんです。でも、長くキャリアを積んだからこそ得られた経験をみんなと共有することでグループ全体がもっと成長できるんじゃないかなと気づいてからは、後輩とも積極的にコミュニケーションを取るようになりました。そうなれたのは、自分に余裕ができたこともあるんですが、さっしー(指原莉乃)の影響も大きくて。さっしーは入った時期も年齢も近いんですが、常に先陣を切ってグループのために行動してくれていたので、その存在がなくなってからは今まで以上に私も何かしなきゃという思いが強くなった気がします。とはいえ、もともと表立って声を上げたりすることは得意ではなかったので、人に何かを伝える時は自分が経験したエピソードを話してから「今はこういう考えを持つようにしたら楽になったから、こういう考えもあるよ」というように一つの選択肢を渡すような感覚で話すようにしています。

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