柏木由紀インタビュー「“アイドル”という肩書きにこだわってゴールを決めずに続けていきたい」

特集・インタビュー
2021年03月05日

◆柏木さんならではの伝え方ですね。

アイドルは正解がないお仕事なので、私が「これはこうだよ」と言ったことで、それが全てのように聞こえてしまって相手の可能性を狭めてしまうのはもったいないなと思うんです。「こういうのもいいよね」「あと〇〇するっていう案もあるよ」といくつかの選択肢を渡すようにすることで、自分自身にも相手にも負担にならずに伝えられるような気がしています。逆にずっと変わらないことは、アイドルが大好きだということ。いろんなお仕事をやらせていただく中で、特にお芝居が好きだったら女優に、特にファッションが好きだったらモデルになるという道もあったかもしれません。でも、全部が楽しいけど根底にはやっぱりステージが好きという気持ちがあるので、それがアイドルを続けたい一つの理由なんだろうなと思っています。大人数でテレビに出ると、数秒しか映らないことも多いんですが、その一瞬でどうアピールするかを考えたりするのも楽しいんですよね。後輩に教えることも増えましたが、その分自分自身も成長していかないとなと思っているので、どうしたらほかの人と被らないか、どうすれば目立てるかという研究は怠りません。内心はまだ負けたくないという思いがあるからかもしれないですね(笑)。

◆28歳の時に「30歳までAKB48を卒業しません」と発表し、アイドルであり続けることを公言。ずばり、アイドルのやりがいとは?

自分が楽しいだけでなく、私が楽しんでいる姿を見た誰かも楽しんでくれるという喜びはほかのお仕事ではなかなか味わえないことかなと思うので、そこにはすごくやりがいを感じます。私自身、誰かが喜ぶ姿を見るとうれしくなるし、誰かのために何かをすることが本当に好きなので、どんな仕事をするにしても「これをやったらファンの人が喜んでくれるだろうな」「これをやったらきっと楽しんでくれるだろうな」という考えが常にあるんです。これまで30歳を超えてもAKB48に所属したメンバーはいなかったので、年齢的にも「次に卒業するのはゆきりんじゃないか?」という雰囲気も感じて、どうしようと考えたこともありました。でも、これまで辞めたいと思う理由が1つも見つからなかったし、自分は辞めたい理由がない、応援してくれる人もいる。だったら辞めずに続けてみてもいいんじゃないかなという考えにたどり着いて。とりあえず30歳までと言いましたが、先に宣言することでファンの皆さんにも安心して応援してもらえるかなと思ったので、今は言って良かったなと思っています。

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