木村文乃インタビュー「不器用さは私と似てるかも」ドラマ『伊藤くん A to E』主演

特集・インタビュー
2017年08月15日

自意識過剰な無神経男“伊藤くん”と、彼を取り巻く女たちの恋愛事情を描く新感覚ミステリードラマ『伊藤くん A to E』。本作の主演を務める木村文乃さんに、撮影秘話や見どころを聞きました。


決して同情はしないけど、救ってあげたくなる女性です

木村文乃インタビュー

◆木村さんが扮する矢崎莉桜は、自意識過剰で無神経な「痛男」、“伊藤くん”に振り回される4人の女たちから受けた恋愛相談をネタに新作ドラマで再起を図る崖っぷちアラサー脚本家。莉桜という女性を演じながら、どんなことを感じましたか?

 皮肉しか言えない、かわいそうな人だなと(笑)。きっと成長していく過程のどこかで、彼女の中の負の要素が大きくなってしまったのだと思うのですが、「どうしてそうなったのか?」ということが大切です。その分岐点を知ってしまうと、もうちょっと何かが違えば、もっと違う未来もあっただろうにと思います。決して同情はしないですけど、救ってあげたくなるような女性ですね。

◆劇中でいうと、例えば、恋愛相談をしてきた4人の女性に対する莉桜のツッコミや心の声が皮肉に聞こえる…と?

そうですね。恋愛相談をしてきた4人の女性に対する莉桜の皮肉は、毒と言えば毒なんですけど、一方でみんなが思うことでもあります。そういう人間の内面に潜むちょっと黒い部分って、やっぱり自分では認めたくなかったりします。そこを莉桜の心の声を通して共感していただけたら、ドラマを見終わった後に少し気持ちが楽になるんじゃないかなと思います。

◆総監督の廣木隆一さんからは、役について「こんなふうに演じてほしい」みたいなリクエストなどはありましたか?

 そういうことはあまりおっしゃらない方ですね。基本的には、現場でやりながら「足は組まないほうがいい」「もうちょっとやって」という演出でした。廣木さんとは、4、5年前に一度ご一緒したことがありましたが、実はその当時、自分の中に「もっと何かできることがあったんじゃないか?」という思いが強くあって。だから、この作品で再び廣木組に参加させていただけてとてもうれしかったです。


人に迷惑をかけてしまうほどの不器用さは私と似てるかも

木村文乃インタビュー

◆“伊藤くん”に振り回されるA~Dの4人の女性の中で、木村さん自身に一番似ている人を挙げるなら?

 この4人の中だったら、“D”の高学歴の鉄壁女・神保実希(夏帆)かもしれません。実希の内面的な固さとか、人に迷惑をかけてしまうほどの不器用さという部分ですごく似ているなと思います。

◆“A”のぞんざいに扱われる女・島原智美(佐々木希)、“B”の自分の殻に閉じこもる女・野瀬修子(志田未来)、“C”の愛されたい女・相田聡子(池田エライザ)、それぞれのキャラクターの印象も聞かせてください。

 “A”の智美はちょっとデキるタイプ、もしくはデキるフリをしている女の子の典型というか、一番テンプレートな女性という印象がありますね。佐々木希さんが演じる智美を見ていると、「こんな女の子いる!」「そうやって去っていくよね」と。去り方1つとっても本当に面白いです。“B”の修子はちょっと内にこもりがちな人です。だから恋愛相談の場面では、話を聞きたい莉桜とあまりしゃべりたくない修子の攻防戦があって、それが編集ですごく面白く表現されていたので、他の3人のシーンとはちょっと違うテイストで見ていただけるんじゃないかなと思います。“C”の聡子は、境遇が莉桜と一番似ているなと感じました。だからこそ、気持ちが入り込み過ぎちゃうというか、2人でセリフのやりとりをして演じているときも、聡子の言葉が心に響いて辛かったです。

◆本作は映画化も決定しています。その公開に先駆けて放送されるドラマ版の見どころを教えてください。

ドラマでは、4人の女性の恋愛相談が2話ごとに描かれます。毎回、最初は少し鼻で笑えて、でも途中からだんだんチクチク痛みを感じて、気づいたら明日をちょっと頑張れるかもしれない、そんなふうに感じていただけると思うので、ぜひご覧ください。

 

■PROFILE

●きむら・ふみの…1987年10月19日生まれ。東京都出身。AB型。ドラマ『マザー・ゲーム~彼女たちの階級~』『ボク、運命の人です。』などに出演。映画「火花」が11月23日(木)、映画「伊藤くん A to E」が来年初春公開予定。

 

■番組概要

『伊藤くん A to E』
TBS 8月15日スタート
毎週(火) 深1・28~1・58(初回は深1・58~2・28)
※MBSでは8月20日(日)スタート 深0・50~1・50(第1、2話)ほか
 
●photo/中田智章 text/江藤利奈 hair&make/井村曜子(e’clat) styling/藤井享子